ORCA2013ールポ
7月のはじめ、ORCA(european Organisation for Caries Research)の2013年の大会(リバプールUK)に、杉山精一さん(本学会代表・八千代市開業)と藤田琴美さん(神戸市立こうべ市歯科センター歯科衛生士)のお二人がポスター発表のために、随行として事務局から秋元麦踏が参加しました。
杉山さんは今回が三度目のポスター発表、急遽、髙木さんのピンチヒッターを買って出ることになった藤田さんは、英語での発表はもちろんのこと、「物心ついてから初めての海外」とのこと。
2日目の午前中に発表のあった藤田さんは、初日の「発表を観ていたら緊張してきた」らしく、夕方になると、翌日に控えた発表の原稿を読み込みに一足先にホテルへ。
翌日朝一番のポスタービューイングセッション(ポスターの前に立って質問に答えたり、参加者と意見を交わす貴重な場)でも最初は表情が硬く、自分の発表するポスターからもちょっと距離を置いて立っていて落ち着かない様子。
しかしここから藤田さんが真骨頂を発揮します。レセプション(前夜祭?)で杉山さんから紹介されていた韓国の歯科医師Kimさんの質問に身振り手振りを交えて答えているうちに緊張もほぐれてきました。
そして、午前中の発表の終盤にさしかかり満を持して登壇。観ているこちらの緊張をよそに、ハキハキと原稿を読み上げました。Q&Aは秋元の不手際も手伝って少々悔しい思いもしましたが、初めての海外の発表ということを考えれば120点!
ランチを挟み、今度は杉山さんのポスタービューイングセッション。前々日のレセプションで、リトアニアのORCA以来の再会をしたクリスチャンセン夫妻もポスターに興味津々でした。データについては「シーラント処置数があると尚良い」と具体的なアドバイスを下さる。その後も次々と質問を受け、良いウォームアップなったようです。
午後もさほど緊張した様子もなく、あっさりQ&Aもクリアし、常連参加者による貫禄の発表でした。
今回のORCAの全体の印象:
ORCA(European Organisation for Dental Research)の基本方針の冒頭には、
To promote oral health through scientific understanding of the aetiology, pathogenesis, prevention and clinical control or management of dental caries.
すなわち、「歯科う蝕の病因、予防、臨床におけるコントロールとマネジメントの科学的理解に基づいた口の健康の促進」とあります。
しかし、今回のポスター発表を見渡すと、QLF-DやOCTの開発に関するin vitro研究が多く、必ずしも臨床現場での応用までの道筋が示されていないものも散見されました。
ORCAでは毎度のことですが、大多数が研究者による発表で、臨床家の報告は絶対的少数派です。その意味でも、前回前々回に続き、今回もまた杉山さんと髙木さん(藤田さん発表)のポスターは臨床家からの貴重な報告になっと思います。
より多くの臨床家がこのような学会に足を運び、現場の声を届け、研究コミュニティーとサイクルに積極的に参加することこそが、将来の予防歯科診療の質・アクセスの向上に直接結びつくのではないでしょうか。
ORCA 2014 in Greifswald(ドイツ)どうでしょう?
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