学会誌刷新!
vol.17 no.2(2014.4.23)
千草隆治(コアメンバー)
研究会から学会への移行に伴い,学会誌の改革が行われています.会誌改革の目的は,より「ヘルスケアらしい」内容にすることと,将来的に日本歯科医学会の認定分科会となることを目指すためです.昨年コアメンバーの入れ替えがあったこともあり,学会化第2号の編集にあたり,コアメンバーの高橋 啓さんを中心に会誌委員会を再編しました.そのなかで上述の会誌改革の目的を整理し,会誌編集の方向性を改めて議論し,さらに実務を行うメンバーで編集委員会を組織しました.今期実際に行ったこととしては,投稿依頼から発行までのスケジュールの明文化,「投稿規定」「投稿の手引き」の見直しと,論文を第三者が精査する査読システムの確立でした.投稿論文のうち,原著論文に対しては大学研究者に査読を依頼し,そのほかは会誌委員が査読することにしました.
「ヘルスケアらしい」学会誌.それこそが最も大切で,「リスクアセスメントを行い病因論に基づいた診療を実践する」「客観的なデータを蓄積し時間軸を重視した診断を行う」「長期間にわたりチーム診療ができる医院のシステムをつくる」……というものを臨床例として残すことで,学会内部への貢献はもとより,外部に対しても我々の活動を具体的に伝える道具になるのではないかと考えました.掲載論文の種別は,「総説」「原著論文」「症例報告」「臨床ノート」とし,「総説」は学会関連の調査や講演内容を分野・領域単位でまとめたものを想定し,原則として編集委員会が執筆を依頼します.「原著論文」ではそれぞれの診療所あるいは学会単位で蓄積したデータを客観的に分析,評価したものや,効果的で独自性のある治療法の論理的な記載を,「臨床報告」では日常的に行っている,〈リスクアセスメントを行った〉〈病因論に基づいた〉〈時間軸診断を行った〉〈チーム診療〉の経過を〈客観的なデータ〉とともに一定の形式に沿って投稿していただき,「臨床ノート」はヘルスケア型の診療に関連した新しい技術や商品,独自の技術の紹介を対象としています.これらに加えて,今まで通り「Doプロジェクト調査1」の分析も調査報告として掲載します.それぞれの論文を一冊の会誌にまとめることで「ヘルスケアらしい」要素の詰まった表現物になるのではないかと思っています.
とはいえ,私自身は編集と言えば,院内新聞か,せいぜい母校OB会の会誌の編集長しかやったことがなく,研究機関在籍も大学院時代の四年間だけで,どれだけ学術誌の編集に役に立てるか自信もなく,正直今でも不安だらけです.今までずっと秋元秀俊さんと秋編集事務所におんぶに抱っこに肩車状態だった会誌の編集を会員が中心になって行いましたが,共に編集委員を務めた高橋さん,宮本 学さん(神戸市),樽味 寿さん(宝塚市)そして,勿論,秋元さん,秋編集事務所など多くの人たちの協力でなんとか発行にこぎ着けました.
今回編集に関わって,いくつかの反省点,改善点が見つかりました.わかりやすく“らしい”会誌にするために,症例報告の投稿数を増し掲載を継続しなければなりません.そのためには実際にヘルスケア診療を行っている会員の皆様の協力が必要不可欠であり,積極的な投稿をお待ちするとともに,場合によっては少々無理なお願いをするかも知れません,ご理解,ご協力の程をよろしくお願いいたします.
「投稿の手引き」に加え,次年度用に新たに「症例報告投稿ガイド」を作成し,より投稿しやすい環境作りにも取り組んでいます.原著論文に関しては,日本歯科医学会認定分科会への申請条件として,「年5編程度の原著論文の掲載」という条件があり,原著論文の体裁と質を高め,掲載数を継続的に確保する必要があります.こちらの対策には大学研究者との幅広い多様な連携が必要かと考えますが,この点に関しては今後の最大の課題です.また,投稿論文を査読するスタッフの確保も急務だと感じました.原著論文の査読を引き受けてくれる比較的若くフットワークの軽い研究者や,症例報告の査読に協力してくれる学会会員などマンパワーを確保する必要があります.1論文に対して2名で査読を行いますが,実際今回も査読の振り分けや依頼,催促,査読結果の取り扱いなどで頭を悩ましました.次号からは編集委員の増員も視野に入れ,少しかたちを変えて編集作業を行う予定です.試行錯誤は始まったばかりでまだまだ改善すべきところはたくさんありますが,会員自身の手による「ヘルスケアらしい」学会誌の完成を目指して取り組んでいきたいと思います.
第14巻1号は取り組みが遅かったうえに,ステップごとにいろいろと手間取り発刊が遅れていますが,ちょうどこのニュースレターがお手元に届く頃には発刊されているはずです.会員の皆さんも,いつもと違った目で目を通していただき,多くのご意見をいただけると幸いです.