2009年市販小児歯磨剤調査報告(2009.7)

 

 近年、口腔衛生に関する意識の高まりとともに、フッ化物配合歯磨剤が広く使用されるようになっています。歯磨剤の宣伝広告でも、「フッ素」のう蝕予防効果を謳われることが多くなり、フッ化物のう蝕予防効果は広く認識されるようになってきました。さらに最近では、少子化を背景にして、小児の健康や教育にかかわる商品開発が進み、小児用歯磨剤も様々な種類の商品が各社から発売されるようになっています。育児雑誌にも「フッ素入り歯磨剤」の広告が大きく載るようになり、また保護者の健康についての意識の高まりとともに、口腔ケアの商品に対する関心も高まっています。

 わが国では歯磨剤に配合できるフッ化物濃度について「薬用歯磨類製造(輸入)承認基準」で90〜1000ppmと定められています。一方、疫学的な研究によると、500ppm未満の歯磨剤についてはう蝕予防効果が低下し、250ppm未満では予防効果が確認されていません1), 2)。このため「フッ素配合」の表示だけではフッ素濃度がわからず、むし歯予防効果があるかどうかを確認することはできません。また、ぶくぶくうがいができず、吐き出しができない乳幼児は、飲み込んでも歯のフッ素症(dental fluosis)を発症させないために、適切な濃度と使用量で使用する必要があります。そこで、今回、市販の小児用歯磨剤および歯磨剤類似商品を実際に購入して、フッ化物配合の有無、フッ素濃度、フッ素濃度の表示の有無について調査を行いました。

1)荒川浩久:フッ化物配合歯磨剤の現状と臨床応用.日本歯科医師会雑誌,60(3):6-16,2007.
2)フッ化物応用研究会編:う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤応用マニュアル.社会保険研究所,
東京,2006. 3.

 

「2009年市販小児歯磨剤調査報告」(PDFファイル;179KB)

 

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