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ピンピンコロリの法則 (2010年8月 798円)/なぜ「かかりつけ歯科医」のいる人は長寿なのか? (2012年2月 840円)


書評:岩井正彦
著者;星旦二
(2012年)7月22日の「健康を守り育てる診療所」認証ミーティングにおいては,多くの皆さまのご助力を頂き,認証を頂くこととなりました.これを機会に,プレゼンテーションの中でご紹介いたしました「食と健康」についてのテーマをお伝えしてまいります.
今回は,星 旦二教授の著書「ピンピンコロリの法則」と「なぜ,『かかりつけ歯科医』のいる人は長寿なのか?」のご紹介をします.著者の星教授は,東京都多摩市在住で,首都大学東京大学院教授としてご活躍されています.厚生省の出身ですが,その言動から官僚の枠にはまりきらない方です.多摩市をはじめ,自治体と共同での『大規模追跡調査』に取り組み,その結果わかった「健康寿命」,つまり『ピンピンコロリ(PPK)の法則』を見つけられ,発表されています.
今回ご紹介する著書の中にある「長生きと健康寿命」のグラフは,疾病の状態が長寿にどのように関係するかを表しています.の線は,急性の疾病などで亡くなる方です.の線は寝たきりになり亡くなる方,の線は医療や介護でいくらか持ち直した場合の線ですが,寝たきりを続けてそのまま亡くなることをNNK(ネンネンコロリ)と言います.これと反対に,の線は寿命のぎりぎりまで健康でいて,ある日突然寿命を迎えるという線です.亡くなる直前まで健康でピンピンしていて,ある日突然コロリと亡くなることからPPK(ピンピンコロリ)と言います.NNKとPPK,どちらがよいかというと,皆さんPPKでありたいと思うのではないでしょうか.
人々ができるだけ長く健康でいたいと思う理由には,やりたいことがある,病気になっている暇はない,大切な家族と長く幸せに暮らしたい等があります.さらに言うと,病気になると色々な面で周囲の世話になるため迷惑をかけたくない,ただただ長生きしたい,長く人生を楽しみたい,そういったことも健康でいたい理由の一つに挙げられます.できるだけ長く健康な状態で暮らし,最後は寿命として,すっと亡くなるという理想的な生き方がの線,PPKになります.医療費問題の面からみても,NNKを減らし,PPKを増やすことが,今求められている健康支援方法なのです.
PPKは長野県に多く,NNKは沖縄に多いそうです.そのことから,人の健康は,お金の使い方で分かれてくることがわかりました.長野県のお年寄りはよく働き,国の補助金が少なく,標高が高く,生涯学習に力を入れています.このようなことが原因としてあげられ,健康長寿モデル県となっています.
沖縄県の方は,国からの補助金が多く,今や施設の人口当たりの数は日本一です.国からの援助が多く保養施設等が多いとNNKの傾向が強くなるようです.
このように,健康への取り組みとして,歯科医院から患者さんや地域の方に伝えたいこと,歯科医院だからこそ伝えられることが,著書の中にたくさん盛り込まれています.それは,従来からの常識を大きく翻すものでした.
aお酒を毎日飲む.bコレステロールが高め.cお出かけ頻度が高い.
d仕事を続ける.e買いもの好きは長生だ.f病院より美容院に行こう. など,興味深いものが目白押しです.
そして,このデータの中で,「かかりつけ歯科医」自体が健康長寿に関わる要因であること,「かかりつけ歯科医」→セルフケアを呼ぶ→予防や健康への意識が高まる→予防を行うためにかかりつけ歯科医へ行く,という良いサイクル(循環)ができてくるというのは,これはまさに,「健康を守り育てる診療所」を推奨していることになるのです.
ちなみに,かかりつけ歯科医をもつ人の生活特性は次のようになっています.
a自分は「とても健康だ」,または「まあまあ健康だ」と思っている.
b自分の生活に満足している.
cトイレに行き,お風呂に入るなど,自分の力で日常生活を送っている.
d買い物や書くこと,読むこと,預金の出し入れなどにも支障のない暮らしをしている.
e週に3〜4回は外出し,趣味活動を活発に行っている.
f週に3〜4回は,友人や近所との付き合いをしている.
g何らかの疾病をもつものの,かかりつけ内科医によって,自身の健康を管理している.
著書の最後は「我が国の皆保険制度が発足して半世紀がたっています.これまでの出来高払い制度ではなく,予防重視システムへと先行しない限り,我が国の皆保険制度はいずれ破綻する可能性が極めて高いと思っています.新しい歯科保険が,予防給付つまり,予防効果や成果に基づいた医療制度設計の先駆けになることを期待しています.
歯科医師をとりまく状況は厳しさを増す一方ではありますが,我が国の歯科保健状況の改善へ向け,全国の歯科医師のみなさまにもおおいなるご尽力をお願いしたいと思っております」という言葉でしめられています.「健康を守り育てる診療所」として,周りの人にも,スタッフにもぜひ伝えて頂きたい1冊です.今後,地域の方々の健康維持における歯科医院の重要性を認識いただけるように,参考にして頂きたいと思います.
岩井は,毎日お酒を飲んで,ピンピンコロリを目指していきます.


動物おもしろカミカミうんち学 よくかむことが大切なのはなぜ?

小菅正夫(旭山動物園元園長)監修 岡崎好秀(歯のふしぎ博物館館長)著
出版;少年写真新聞社刊 2012年11月
定価;1,600円(税別)
大久保夏子(おおくぼ歯科)
この本は,健康のバロメーターである,うんちについて,動物の話を織り交ぜ,説明している.また,かむことの重要性も書かれている.
子どもでも読めるよう,漢字には読み仮名がふられている.
内容は大きく四つに分かれている.
●動物のうんちの違い
本に登場する動物が,どんな物を食べて,どんなうんちをするのか
・うんちが教えてくれる体の秘密
歯がない鳥類は,どんな体の構造をして,どんなうんちをするのか.
●食物繊維ってどんなもの?
食物繊維が,どんな物なのか,また,食物繊維を食べるとどうなるか
・食物繊維の特徴
食物連鎖について,イラストで分かりやすく表現されている
一物全体食とは何か
●草食動物のうんち
シマウマとキリンの食べ物と,うんちの違い
・ひづめをもつ草食動物
草食動物の体の構造
人間と動物の消化のシステム
草食動物が行う反芻について,意味とメカニズム
草食動物の歯の構造
●肉食動物の歯
ハイエナの食べ物と歯の構造
・肉食動物のれつ肉歯
肉食動物の歯の構造を,犬と猫で比較してイラストで解説されている.
犬と猫の食べ物の違い.
・色々な動物の歯
熊,パンダ,馬,人間の歯の構造.
歯の役割と重要性.

各項目では,クイズがあり,子どもが楽しんで本を読むことができる.
また,うんちこぼれ話というのがあり,『日本人のうんちの大きさ』,『奈良公園の鹿のうんち』,『君のうんちは何グラム?』,『誤算!うんちの量と人数』の4項目で,どれもとても興味深い内容である.
最後に,歯のふしぎ博物館館長の岡崎さんが,「バナナうんちはよく咬むことから」という内容で,現在の日本人の食生活の問題点と,健康なうんちとは,どんな形なのかがイラストで書かれている.
どのページにもイラストや動物の写真が多く,子どもが見ても楽しめる.動物について,歯について,食生活について,子どもに興味をもたせるよいきっかけになる一冊である.
歯科医院の待合室にも,とてもよい本だと思われる.子どもに,本の中のクイズを答えてもらうなど,子どもの患者さんとのコミュニケーションのきっかけに,いかがでしょうか.


削るう蝕 削らないう蝕


書評:大久保 篤(堺市開業)
著者;今里 聡(監修),林美加子,伊藤 中(編)
出版;クインテッセンス出版 2013年1月
定価;11,000円(税別)

書籍の題名からして,普段,私が直面している問題でした.本書は,その問題の解決に多くのヒントを与えてくれました.各章ごとに,臨床例を編者ら三人が話し合いながら,問題提起をし,その後に,更なる臨床例や最新の研究・文献等で解説を進めていきます.臨床例は,口腔内写真やエックス線写真,検査結果等提示しながら,とても理解しやすくなっています.図やグラフについても,詳しく解説されていて,感度・特異度をはじめ,CARTなど,私がよく理解できていなかった部分もかなりクリアになりました.
1章「う蝕とはどういう疾患か」では,疫学も考察に含め,病変の進行が遅くなっている現代,長い時間軸のなかで注意深く観察し続けていくことが求められていると述べられています.本学会では,言い尽くされてきたことだと思いますが,う蝕とは「脱灰と再石灰化のバランスが脱灰に偏っている状態」のことであり,この状態が長期間継続した結果生じた組織破壊が「う窩」である.したがって,再石灰化が脱灰を上回るように口腔内環境を整備していくことが本来のう蝕治療である.結局は,疾患と病変の診査・診断を繰り返しながら,時間軸のなかで治療計画を見直すことが非常に重要とのことでした.
2章「カリエスリスクアセスメントとリスクの重みづけ」では,普段の臨床の中で,規格化された資料を残すのは,歯科医療従事者だけのためではなく,まず第一に患者自身のためであり,カリエスリスクを把握し情報提供する時代から,リスクの重みを反映したアプローチを展開していく時代に入ってきていると述べられています.今までの,カリオグラム,レーダーチャート,さらにはCAMBRA等も紹介されています.そしてCART(Classification and Regression Trees; 分類木,回帰木)による,リスクの優先順位を考える試みもなされています.いずれにしても,筆者の診療室の膨大なデータ蓄積を元に,とても理路整然と解説されています.
3章「う蝕の診査・診断と介入・非介入の判断」では,「進行するう蝕」と「進行しないう蝕」の見極めは,断面的な判断では到底できませんので,時間をかけて判断していく必要があります.そのとき2つの大切なことがあります.1つはリスクコントロールです.「脱灰と再石灰化のバランスを修正する」ことが「削らなくてもすむようにしていく」ことを担保していますので,リスクは常に追っていかなければなりません.もう1つは,非破壊的にチェックする術を持つことです.当たり前のような2つのことですが,日々臨床のなかで続けていくことは,並大抵のことではありません.診査・診断についても,う蝕病変の活動性判定のゴールドスタンダードはまだ確立されていないものの,当学会でも推奨しているICDASの有用性・展望等が詳細に解説されています.また,「患者には多様な背景があることを理解したうえで,歯科医療従事者と患者とのディスカッションが非常に重要であり,『修復物の予後』のために初期う蝕病変を切削してしまうことではなく,『歯質を少しでも温存する』ためにさまざまな努力を惜しまないことが大切」とあり,自分の臨床を反省しました.
4章「再石灰化促進療法と修復処置」では,再石灰化のメカニズムの解説があり,「再石灰化で形成された歯質は脱灰前よりも耐酸性が向上している」と,分かっているようで十分に理解できていないことがクリアになりました.さらに,具体的な再石灰化療法やいくつかの修復処置例を豊富な写真で紹介されていました.また,リペア(補修修復)の意義についても,ページを割いて解説されており,普段歯科医師が敬遠しがちな内容にもしっかりと目を向けていました.
5章「テーラーメイド医療としてのう蝕マネジメント」では,時間軸のなかで,判断していくためにも,病変の進行を抑えるためにも,バイオフィルムの歯面からの継続的な除去が必要です.メインテナンスは長期にわたって継続されなければならないものであり,う蝕のメインテナンスの目的は,a病原性細菌を歯面から除去bリスク要因の軽減c宿主の強化とありました.とても基本的なことが,重要ポイントだと思います.
また,最後に,う蝕を慢性疾患と考えれば継続的な疾患のコントロールが必須であり,時間軸で口腔の状態とリスクを絶えず評価し続けていくことが大切と締めくくられていました.
この書籍を読んで,歯科ではありふれた「う蝕」という疾患の奥深さをあらためて,実感させられました.当たり前のことを当たり前に続けていくことの大切さと難しさにも気づかされました.臨床例の写真が多数盛り込まれており,とても読み進めやすくなっています.みなさんもぜひ一度,目を通してみてください.きっと新しい頭の回路が増えるのではないでしょうか.

ビジュアル 歯周病を科学する

 書評:伊藤中(茨木市開業)

(著者;天野敦雄、岡賢二、村上伸也 出版;クインテッセンス出版 2012年5月 定価;16,800円)

もう20年も前のことになる.卒業直後だった頃に,本書の著者の1人である岡 賢二さんに歯周炎に関する知識が整理された本を紹介していただいたことがある.R. C. PageとH. E. Schroederが著した“Periodontitis in Man and Other Animals. A Comparative Review”という1982年に刊行された本である.思うところあって最近,この本を手に入れた.Man and Other Animals とあるが,ヒトの歯周炎について記載されているのは全体の約3分の1で,まだまだ歯周炎の病因を理解するために動物実験が歯周病研究のなかでも大きな比重を占めていた時代であったことが想像できる.導入部分には,「非常に長い間,歯周病,特に重篤な病型の歯周炎は,患者や,歯周病を理解し予防しようとしている者にとって,不可解なもののままであり続けている」,「ここ20年ほどの間に加速された新しい知識の獲得は,プラークに関連する歯肉炎や歯周炎の病因論の理解に,革命的ではないにしても著明な進歩をもたらしてきた.この新しい情報は,部位特異的な細菌叢についての研究を含む特異的な臨床的観察,あらゆる動物種での実験,細胞培養による研究の3つから得られたものである」と述べられている.
今回出版された“ビジュアル 歯周病を科学する”の序文には,天野敦雄教授が「歯周病の病態は一様ではない.治療方法や転帰も画一的ではない.時に複雑怪奇な症状を見せるこの疾患に対して,われわれが拠り所とすべきは,科学的病因論である」と書かれている.Pageたちの書籍から30年,ヒトの歯周炎に関する知識は,おそらく30年前の歯周病研究者たちが想像できなかったほどに絶対量が増え,さらに整理された.それでも,「いまだ科学は歯周病の全体像を明らかにしてくれてはいない」というのである.研究者の心の持ちようは全く同じなのであろう.
本書にまとめられた歯周病学の知識のエッセンスの量と深みは相当なもので,細菌,宿主応答,組織修復(治癒,再生)にいたるまで最新の知識が理解しやすいイラストとともに解説されている.非常に難しい内容をこれだけ親切に表現してくれた書籍とは今まで出会ったことがない.
とはいえ,読者は覚悟を決めてこの本と向かい合わねばならない.それは,内容をしっかりと理解する覚悟だけではなく,最新の知識を日常臨床に活かす覚悟である.研究者たちの行う個々の研究は,傍目から見ると「重箱の隅をつついている」かのような印象を受けがちである.しかし,多くの研究成果をパズルのように組み合わせて,全体像を俯瞰してみると,あたかもミステリー小説の種明かしのように,一つの事実が浮かび上がってくる.この事実を,目の前で毎日展開されている臨床に結びつけることができるか.「サイエンストランスファー」と表現されているが,臨床を科学に寄り添わせていくための不断の努力を怠ってはならないと改めて認識させられた.臨床に携わる者にとって,本書を手にする価値は,石井正敏先生がよくおっしゃっていた「臨学の一致」を意識し,自らの臨床の経過を記録として残し,目の前の事象を分析できたときにはじめて得られるのかもしれない.

3・11の記録

 書評:一瀬浩隆(気仙沼口腔ケア・摂食嚥下・コミュニケーションサポート)

(著者;大久保満男、大島伸一 出版;中央公論新社 2012年4月 定価;1,575円)

平成23年3月11日午後2時46分,三陸沖を震源としたマグニチュード9.0の地震が東日本を襲い,各地に甚大な被害をもたらした.テレビで見る映像は目を疑うもので,とても現実とは思えない光景ばかり.被害の大きさが日に日に拡大していくなか,多くの人が「今,自分にできることはないのか」という思いに駆り立てられたのではないだろうか.
本書では,「歯科医師ができること」に焦点を当て,震災直後からの日本歯科医師会など外部からの支援と被災した地元の歯科医師との関係が時間経過とともにまとめられ,時々刻々と変化する状況や各々の心情が詳細に記録されている.
一言で「支援」と言っても,歯科医師の支援は,避難所での入れ歯の治療や虫歯の治療などの一般歯科治療だけではない.
「検死」.
私たちは「口腔」という器官を専門としており口腔の機能には「食べる」がある.
「食べること」は,つまり,「生きること」に関係している.しかし,大規模災害時には,日常,ほとんど関わることのない「死」ということに向い合うことになる.
身元が分からないご遺体が次々運び込まれるなか,一人ひとり,一本一本の歯式を取り,歯の治療痕がその人であると証明する.この作業は過酷で肉体的にも精神的にも計り知れないものがある.我が身を振り返らず,「今できること」を懸命に行う歯科医師の心情が綴られている.
私も震災から2ヵ月後の5月から気仙沼市の歯科ボランティアに関わらせていただき,現在も「気仙沼口腔ケア・摂食嚥下・コミュニケーションサポート」として口腔ケア,摂食嚥下を中心とする継続した支援を行っている.
はじめて気仙沼を訪れた5月は,周囲がれきの山でほとんど撤去されていない状態.数多くの方が避難されており,避難所に自衛隊が配置されていた.その光景は戦争を知らない私にもそれを思わせるほどであった.
被災した歯科医院の現状も厳しいものであった.津波で全てを流されてしまった歯科医院,自宅や診療室全てが浸水,津波の被害を逃れたがライフラインが復旧しない,そんな中,避難所や在宅では医療を必要としている人が多くいる.救いたいのに救えないジレンマ.被災者なのに支援をするというパラドクスに悩まされる歯科医師は多かった.
私は,はじめPCAT(日本プライマリケア連合学会)より気仙沼に派遣され,派遣歯科医師として約1週間,避難所で応急歯科治療,避難所内の巡回診療を行った.しかし,派遣期間が終わったから帰るという気持ちにはなれず,むしろ必要とされているならもう少し気仙沼で何か自分にできることはないかと思い,個人でJRS(気仙沼巡回療養支援隊)に参加することにし,気仙沼でのボランティア活動を継続した.JRSでは医師,看護師,歯科医師,栄養士など多職種連携の在宅医療チームが編成され,在宅患者の巡回診療を行っていた.震災後,寝たきりや栄養状態の悪化により褥瘡を患ってしまったケースが多く,医師による全身管理や看護師による褥瘡のスキンケアだけでなく,栄養士による低栄養状態の改善にむけた食事指導,歯科の立場から義歯調整や口腔ケアはもちろん,口腔機能評価や摂食嚥下指導が必要とされていた.その現場で感じたことは,口腔機能の重要性,「食べること」は「生きること」であるということだった.
現代社会は超高齢化社会である.とりわけ,東北沿岸部の高齢化率は30%を超えている.今回の震災により多くの高齢者は移動手段をなくし,通院困難となっている状況であった.もともと医療過疎地域であったため,訪問診療体制も乏しい.震災後,外部から様々な医療ボランティアが入り,支援を行った.しかし,地域とコミュニケーションを取り,最終的には地域の医療資源を生かすように引き継がなければならないため問題も多い.そのためには地域の医療機関の協力は不可欠である.
本書でも地域の取り組みとしてコミュニティの充実,それに関わる歯科医院が提案されている.これは特に重要である.医師と患者と同じように「顔が見える関係」は今の社会に必要で,それを歯科医院から発信していく.患者さんが歯科医院に来ることで他の患者さんと話をする,先生と話をする.その先生が往診して,その患者さんの家族と話をする.患者さんの状態が悪ければ,地域の医者に相談する.歯科医院が地域の輪を広げ,地域医療の核になることもできるのではないだろうか.
今回の大規模災害により医療の歯科という分野において,私たち歯科医療従事者がどう行動すべきかを考えさせられた.私たちは今,今後の歯科医療の在り方を考える岐路に立っている.
多くの歯科医師がインプラント,審美修復や歯科矯正といった方に目が向きがちであるが,もっと人間の根本である「食べること=生きること」ということに目を向けていくべきである.
私たちは,この震災から多くのことを学び,生かさなければならない.「歯科医師にできること」,「歯科医院にできること」それを考えさせられる一冊となっている.

生活の医療 食べる―生きる力を支える

 書評:田中正大(川口市開業)

(著者;大久保満男、大島伸一 出版;中央公論新社 2012年2月 定価;1,575円)
本書は「歯科医師会からの提言 食べる—生きる力を支える」というテーマの下に企画された書籍シリーズの第1巻で「生活の医療」という表題が付いています.第2巻は「いのちと食」,第3巻は「3.11の記録 震災が問いかけるコミュニティの医療」でいずれも既刊です.
この巻では,超高齢社会となった日本において,医療・介護の現場,行政などで働く専門家との対談,座談,及び寄稿などを通してこれから私たちが向かうべき歯科医療の姿をあぶり出していきます.
はじめに日本歯科医師会の大久保満男会長が「思想としての8020—a生活を支える歯科医療」として,歯科医療の新たな役割,生活の医療としての歯科医療について書いています.次に歯科医療のみならず現在の医療そのものが抱えている問題を「口」「食べる」を軸に様々な専門家と大久保会長が話しあっていきます.そして,最後に生きがいを支える国民歯科会議議長の大島伸一先生個人,および会議からの歯科医療への提言で締めくくられています.
本書により,いままでむし歯と歯周病の治療が目的であった歯科医療に,新たな定義づけがなされたと思います.人は,食べられて,話せて,笑える=生活そのもの質が保たれてこそ,生きていると言えます.大久保先生の言葉を借りれば,歯科医療の真の目的は人々がどのようにして生きがいのある生活を過ごすことが出来るのか,そしてそれをいかに支えられるかということであって,治療そのものは目的ではなく,あくまでも手段に過ぎないのです.
医療の中で,唯一といっても良い,赤ん坊からお年寄りまで関わり続けることの出来るのが歯科医療の特徴でしょう.日本ヘルスケア歯科学会の定款には,「人々がその生涯にわたって健康な歯列を維持し,快適な咀嚼と自由な会話と若さと尊厳に満ちた微笑みを失うことなく,それぞれの生活の質を高めることを支援することを目的とする」と謳われています.本書で新たに定義づけられた歯科医療の目的と同じです.カリエスフリーを目指すのも,歯周病をしっかりコントロールするのも,インプラントするのも,エンドも,全ては人生のQOLを維持するための手段です.
診療室で白衣を着てマスクをして,患者の口腔内をのぞき込み,タービンやエンジンを使っていることだけが,相も変わらず私たちのイメージであり続けるという未来は寂しくはないでしょうか.社会のいたるところに関わり,ありとあらゆる機会を通して人々の生活=食べられて,会話ができて,笑えるを支え続ける姿が歯科医療従事者として認知される未来をぜひとも作っていきたいと思いました.それが介護の現場でも,病院でも,近所の公民館でも.もちろん,ヘルスケア型診療室がしっかりあることが基本なのは言うまでもないことですが.
全ての歯科医療関係者にお勧めします.ぜひお読みください.

新編 治癒の病理 臨床の疑問に基礎が答える

 書評:武内義晴(日野市開業)

(著者;下野正基 出版;医歯薬出版刊 2011年9月 定価;19,950円)
歯科臨床と基礎医学の調和・融合を求めてと題し,23年前の「治癒の病理」,続いて18年前から順に「治癒の病理 臨床編」の4冊が発刊されました.当時,臨床に関わり始めていた私にとっても,基礎と臨床の双方を知る書籍として読みふけったのを憶えています.
そして,2011年,著者の退官を機に基礎と臨床家に向けて発刊されたこの書籍は,I歯周疾患 II象牙質・歯髄複合体 III移植・再植・歯の移動 IVインプラントについて a治癒に関する基本的・普遍的事項をしっかり既述 b基礎医学の新しい情報をできるだけ多く紹介 c臨床家にわかりやすい内容.図表イラストを多用し,キーワードと英文・索引・専門用語の解説というかたちでまとめられています.
項目の多くは詳細に述べられ,普段曖昧にしている事項が整然と綴られ,改めて基礎と臨床との切れない表裏の関係を知ります.
ルートプレーニングはどこまでやればいいのか? クリーピングアタッチメントはどうして起きるのか? プロービングによって生じた上皮間亀裂は修復するのか? 一旦形成された長い付着上皮は短くなる.熱いものや冷たいもので歯がしみるのはなぜか? 動水力学説から知覚受容複合体説へ.トウガラシと歯の痛みとの関係??… 等々.何度も「へぇー」という内容が詰まっています.臨床で迷う時,索引から開き,解決の端緒を見出すかもしれません.
すでに学校で習ったこと,あるいは過去に聞いたこと,調べたことなど,はたして自分の知識は現時点でどうなのだろうか….患者さんも医療者も,真偽が交錯するインターネットに調べものを頼る時代,基礎が大事と教科書を読んでも新旧が不明な現在,現時点での見解を知るためには,何冊分もの内容が詰まり,整然とどこからでも読みやすいこの本が出版された旬の今,手にするしかありません.そして,一旦紐解くと,人の身体の治癒の不思議さを知る読み物として関連項目まで読みふけっても楽しい本です.

SRPのArt&Science長谷ますみ流クリニカルメソッド

SRPのArt&Science 長谷ますみ流クリニカルメソッド

 書評:藤野友子(歯科衛生士 てらだ歯科クリニック)

(著者;長谷ますみ 出版;デンタルダイヤモンド社 定価;5,250円 2011年8月出版)

この本は,著者が臨床経験26年,指導経験16年の中で築き,探求してきたSRPという技術を書籍というかたちで,わかりやすく伝えてくれるものです. ベーシック編,ミドル編,アドバンス編と三つのパートに別れていて,SRPの初心者はもちろん中級者,上級者までに対応した内容になっています. また,臨床で欠かせない超音波スケーラーについても,それぞれのパートの終わりに記されているので,ベーシックからアドバンスまで使いこなせるようになっ ています. 私たちが日頃,臨床で悩み,戸惑い,困っていることが細かいところまで拾い上げられ,的確に分かりやすく解説されていて,目からウロコで納得できることば かりです.文章での説明に加え写真も多く,まるで動画をみているように連続でスケーラーのエッジの動きがわかるので,本を見ながら,実際に模型とスケー ラーを持ち練習ができます. SRPを今から始める方はもちろん,経験があっても手応えが今一つ感じられない方,悩んでいる方にはお薦めの本です.実際に私もこの“長谷ますみ流クリニ カルメソッド”に出会い技術の成果を実感しSRPが楽しいと感じている一人です. また,技術本というだけではなく,“はじめ”と“おわりに”書かれている文章を読むと著者の歯科衛生士という職業に対する “情熱と愛情”が感じられる内容で,読み終えたあと「さあ,また,歯科衛生士 頑張ろう!」という気にさせてくれる本です.

長期メインテナンスに強い歯科医院の院長が説く患者と長くお付き合いできる歯科医院作りのノウハウ28

患者さんと長くお付き合いできる歯科医院づくりのノウハウ28

 書評:沼澤秀之(沼澤デンタルクリニック)

(著者;河野正清 杉山精一 田中正大 斉藤健 川嶋剛 出版;クインテッセンス出版 定価;4,410円 2011年7月刊行)

私の医院は2年前ヘルスケア型診療に転換を始めました.当時は「やりたい!」「やらなきゃならない!!」って意気込みだけで突っ走り,ヘルスケア型診療に 一番大切なスタッフを引きずりながら走っていました.ちょうどそんなとき,著者の方々と交流をもたせていただき,はやる気持ちを抑えてスタッフの成長を見 ながらの転換に変更し,実現してきた背景があります.この度この本を読んでこの2年間にいただいた本当にありがたかったアドバイスが全部詰まった本である ことに驚きました.しかも内容はスタッフの採用,教育,評価から医院に必要不可欠なミーティングなどにも触れた至れり尽くせりの内容です.

自分は 当時先輩院長からのアドバイスに「それは医院の状況によってだいぶ違うのでは?」と腑に落ちないこともあったのですが,この本では自費中心の医院,団地の 中の医院など五つの医院の院長先生の対談形式で書かれているので,医院の方針や状況によって様々な意見が読めて大変共感できます. ヘルスケア型診療には院長先生の「やるぞ,変えるぞ!!」という思いはもちろん必要ですがチーム医療である以上一人では何もできません,チームを作る本当 のコツ,スタッフとの関わり方では今までなかった参考書になること間違いなしだと思います.従来型の診療体系に疑問を感じてらっしゃる方,今まさにヘルス ケア型の診療を構築しようとしている方,すでに実践し始めているが,どこかうまくいかないと四苦八苦している方がいらっしゃれば,まず読んでみてはいかが でしょうか?

自分ももう少し早くこんな本と出合いたかったと思う今日この頃です.

『食生活と体の退化』先住民の伝統食と近代食その体への驚くべき影響

食生活と身体の退化―先住民の伝統食と近代食その身体への驚くべき影響

 書評:森田健太郎(久喜市開業)

(著者;Weston A. Price 訳;片山恒夫 出版;恒志会 増補・改訂版 定価;4,200円 2010年12月出版)

この本は,著者が,およそ10年間にわたり,「健康な人」を求めて,全世界14カ国,数百に及ぶ地域を訪れ,先住民の食習慣と口腔の実態についての調査を膨大な記録として残したものである.本書は,人類学としても非常に興味深い名著である. 本著の中にある200枚にものぼる記録写真の数々をみれば,砂糖や精白小麦などのいわゆる「近代食」が先住民たちにもたらした影響は,「むし歯」だけではなく,顎の変形を伴った「歯列の狭窄」に及んでいることが一目瞭然である. 子どもたちの健康で健やかな成長のためには,単に砂糖を断つということだけではなく,なるべく自然に近い日本に昔からある「伝統食」がいかに大切なのかがよくわかる. 私たち歯科医療従事者は,単にう蝕の予防という観点からだけではなく,歯列不正にも重きをおくことの重要性を感じる. 明日からの臨床において,食習慣改善を見直してもらう場面で,患者さんへ伝える言葉が、変わってくるような、そんな一冊である。

『では、予防の話をしようか』

 書評:中川正男(大阪市開業)

(著者;大野純一 出版;医師薬出版 定価;2,730円 2010年12月出版)

現在日本の予防歯科には色々の考え方がありますが、この本は我々が現在行っている予防について、北欧からもう一度問いかけているように思えます。 この書物に出てくるマーロウ先生や地名は、実際には存在しない北欧の架空の名称のようですが、留学生とのディスカッションを通じて、我々に北欧の予防の考え方が理解し易いように工夫されています。 また随所に素晴らしいイラストが挿入され、北欧の風習等も随所に紹介されており、読む者は実際に現地にいるような錯覚さえ覚え、予防の本質について迫ってきます。 Lesson1は健康と病気、そして検査と診断についてから、Lesson9のマーロウ先生のリスク論3に至るまで詳細に述べられており、予防を含め、歯科医療全般にわたり基本的な考え方が学べる本は今までなかったように思います。 またマーロウ先生が来院患者をクワドラントという分類法で、O(理想的な状態)A(許容範囲内の状態)P(問題のある状態)U(患者が不満に感じている状態)と思考を4通りに分類しています。 これは治療計画を考える上で、目に見えないものを実際に理解しやすい形に置き換える合理的で便利な分類方法です。 (来院患者クワドラント)

Optimal Acceptable
Unsatisfied Problem

また分かりにくいリスクについても、本書は詳しく述べられており、普段疑問に感じている点について明快に答えてくれています。 読むにつれ、ともすれば予防と治療について線を引き、区別している我々の誤りに気付かされます。  また普通の事を普通に行うことがいかに大切か、ということも教えてくれます。 この本は我々が予防とは、また歯科臨床とは何かと迷っている時に、答えを見つけ出すヒントを与えてくれる格好の書ともいえます。 この本の利用方法ですが、多分1回読むだけでは理解できないとも思われます。 医院内におけるミーティング、勉強会の場において、ディスカッションを含めグループワークを行い理解を深めていくこと等、色々な利用方法が考えられます。 またこれが本書の目的とも思え、是非チャレンジしてほしいものです。 ともすれば目先の事にのみ視線がいく日本の歯科の現状において、本書はこれから健康を守り育てていこうとしている、志の高いヘルスケア会員諸氏には是非読んでいただきたい良書であると確信しています。

『未来型歯科医院をつくろう』

未来型歯科医院をつくろう
書評:雨宮博志(秦野市開業)
(編者;康本征史 著者;康本征史、武智宗則、築山雄次、清水裕之、渡辺 勝、竹歳さおり、阪口歩里、白石一則、濱田智恵子、小窪秀義 出版;医学情報社 定価;5,250円 2010年12月出版)
この本は2009年9月神戸で開催されたシンポジウムをまとめた本である。 従って内容は、非常に読みやすく、あたかもその会に出席しスライドや講演を直接聞いている感じになるから不思議である。 また、当会(日本ヘルスケア歯科研究会)・CHP・ウェルビーイングの三つ会の先生方が執筆しているのも興味が惹かれる。結局、歯科に対し同じ熱い想いを 持っているのがよく理解できる。 さらにT・C(トリートメント・コーディネーター)について役割、心構えも詳しく記載されていて本職を志す方にも必携といえる。 表題にあるように予防型定期管理型歯科を未来型と変えたところに編著である康本さんの意図が読み取れる。1冊5000円ドクター用・スタッフ用と各医院に 2冊あってもよいのでは?と思わせる内容である(特に今後認証を目指す医院や予防歯科を始めていく医院にはお勧めである) しかし、予防がしっかり定着していくと、どの医院でも手狭になってきて、拡張もしくは移転になっていくものらしい… 振り返って自院をみてみるとどうなのか? 自問自答させられる本である。

『顔・からだ バランスケア お口の健康を保つために』

顔・からだバランスケア

 書評:丸山和久(神戸市開業)

(著者;筒井照子  出版;医歯薬出版 定価;2,940 円(税込) 2010年3月出版

口の中のトラブルや全身の諸症状の原 因を,安易に咬み合わせ・咬合に求める 風潮には疑問があります.ただ,からだ のバランスを保つ・回復することは大切 であり,そのために咬み合わせは大きな 要素です.そしてまた,咬み合わせを乱 す原因の一つに「態癖」があるのは間違 いないようです. 態癖とは,本書の著者筒井照子氏の造 語で「 杖やよくない睡眠姿勢のよう に,アゴに外から悪影響を及ぼす力を加 える生活習慣」のことです.最近では, 直接,歯列やアゴに力を及ぼす生活習慣 だけではなく,職業的に長時間無理な姿 勢をとることなど間接的なものを広義の 態癖と呼んでいるようです.このとこ ろ,歯科衛生士向けの雑誌でも特集が組 まれています.

著者の筒井氏は,矯正の専門医として 著名であり,ご主人は皆さんもご存知の 故筒井昌秀氏です.大作『包括歯科臨 床』(クインテッセンス出版)もお二人 のチーム医療から生まれたと承知しています. 本書ではまず顔の歪みに注目します.それを, 筋肉の非対称性・骨格の 非対称性・アゴの偏り・ 歯列弓の歪み・咬み合わせの偏りに分類 し,それらの原因となる態癖・不適切な 噛みかたなどについて多くの写真・図版 を用いてわかりやすく解説しています. 読んでいて「こういう患者さん、いるよなあ」と必ず感じられると思います.実 際の治療となると奥深くなっていきそうですが,定期的に患者さんと接する機会 の多い私たちにとって「引き出し」を増 やすのに絶好の書です. 先日のヘルスケアミーティングで矯正歯科医の井上裕子さんがおっしゃった「早期発見,正しい介入」を実践するためにも,まずスタッフ全員が本書を読まれて はいかがでしょうか.「DMFT は幸いゼロなんだけど咬みあわせが…」という ケースをぜひ減らしていきたいものです.

『フッ化物についてよく知ろうう蝕予防の知識と実践』

フッ化物についてよく知ろう

 書評:杉山精一(八千代市開業/コアメンバー)

(著者;飯島洋一 出版;デンタルダイヤモンド社 定価;5,670円(税込)2010年4月出版)

今までフッ化物についての本は数多く出版されていますが、この本の特徴は、第1章「フッ化物とリスク・コミュニケーション」に全体の半分にあたる 53ページを使って詳細に解説している点です。 著者の前文には「科学物質の健康リスク評価には、パラダイムシフトと呼ばれているほどの変化が…(途中略)…今後は、専門家には知らせる義務を意識した説 明を行い、同意を求める努力が求められる」とあります。私も、最近の社会情勢の変化は、まさにそのとおりだと思います。フッ化物と歯科界の接点となった 1900年代の有害作用としての報告からスタートした歴史的経緯、フッ化物が食事摂取基準に組み入れられる可能性、フッ化物と有害事象の報告事例として 「フッ化物と骨肉腫」の事例などについて根拠を示して詳しく解説しています。 診療室から外へ出て地域の協議会や保健関係者へむし歯予防について講演をするときには、必ずフッ化物について説明することになります。フッ化物の有害性に ついての質問を受けることがしばしばありますが、タイミング良くわかりやすく説明をすれば多くの方は納得していただけます。そのようなときのための資料と して本書はとても役立ちます。

また、第2章では「フッ化物をう蝕予防効果」について基本的なことから特定保健食品でのう蝕予防についてまで幅広く解説されていて、診療室での患者さんへの説明にも役立ちますので歯科衛生士の方にもぜひ読んでいただきたいと思います。

『事例で学ぶ 禁煙治療のためのカウンセリングテクニック』

事例で学ぶ 禁煙治療のためのカウンセリングテクニック

 書評:杉山精一(八千代市開業/コアメンバー)

(編集;田中英夫 著:谷口千枝 出版;看護の科学社 定価;2,100円(税込)2009年8月出版)

実際の臨床の場で禁煙支援を行うといろいろな事例に遭遇します。そのような時に役立つように具体的な事が書かれた本が欲しい、という要求を実現して くれたのがこの本です。例えば、第5章には、ポイントとなる言葉かけ問答集があります。「過去に何度も禁煙したが、失敗ばかりしている」「今までに禁煙経 験がない」「家族みんな吸っている」「体重が増加して逆に身体に悪いんじゃない?」など様々な場面についてのカウンセリング例が書かれています。さらに ケーススタディでは実際の症例を患者、カウンセラーのやりとり、そのときの観察とアセスメントプランについての考察も交えた、詳細なプロセスレコードを紹 介しています。これらの臨床例だけでなく、禁煙治療に必須の基本的な行動科学と心理学についての解説もされています。一番最後には失敗例での考察、さらに 患者、医師、看護師の間で使用できるクリニカルパスも示され、それらが付録のCDにも入っていますので、すぐに活用できそうです。

著者の谷口千枝さんは国立病院機構名古屋医療センターの禁煙外来の看護師で、その経験をもとにして書かれています。歯科での禁煙支援とはやや違う現場です が、そこから私たちが教わることはたくさんあります。歯科医院での禁煙支援が重要ということはいうまでもないですが、実際に効果的に行って成果をあげてい る医院はまだまだ少ないのが現状です。そのような状況から一歩進めるためにこの本は大変活用できると思います。

『すぐに役立つ 歯育て支援Q&A お母さんたちから194の質問に答えて』

すぐに役立つ 歯育て支援Q&A

 書評:高木景子(神戸市開業)

(著者;井上裕子/田村康治/池田市歯科医師会/母親Q&A検討委員会 出版;クインテッセンス出版 定価;2,730円(税込))

自分で調べて考える過程が自分のためになるのです。わからないことの答をすぐに求めてはいけません… と、学生時代はさんざん言われ続けてきました。「そんなこといわずに答を教えてくれたらいいのに」と、不良学生だったわたしは幾度となく思ったものです。

歯科医師として20年余り、また院長として10年余りの間、「自分で調べて自分で考えなさい」という言葉を、たくさんの後輩やスタッフに言ってきました。しかし、聞いたことの答がズバッとわかるのも、いいことなのだと思えるようになってきました。答がわかった後、それをどう味付けしていくか、その方 が実は大切なのかもしれません。

大阪府池田市の歯科保健事業の際に出た、子育て中のお母さんから歯科医師・歯科衛生士への質問をまとめたのがこの本です。出務歯科医師・出務歯科衛 生士が、「できるだけ正しい情報をわかりやすい共通の言葉でお話しできるように」と、池田市歯科医師会が作成した回答集の小冊子が、本になって出版された ものです。

ほとんどがよく出会う定番の質問で、一問一答形式になっており、回答のポイントが記されています。質問の分野で分けてまとめてあるので、調べたい質 問をすぐに見つけることができます。残念なことに、一つの質問に対する回答はごく簡単なもので、この答だけで納得する方はそれほど多くはないだろうと思わ れるほどあっさりとしたものです。この本の答がすべてととらえるのではなく、あなたの経験や知識を交え、患者さんの個々の状況を加味することで、より素晴 らしい回答を作り上げることができます。自院オリジナル、あなたオリジナルの回答を作るためのガイドラインとして、ぜひ手元に置いておきたい一冊だと思い ます。

『子どもの不正咬合 一般歯科医に伝えたい考え方と早期発見のポイント39』

子どもの不正咬合

 書評:近藤明徳(神戸市開業)

(著者;井上裕子 出版;クインテッセンス出版 定価;7,350円(税込))定期健診に来てもらい、フッ化物洗口やシーラントをしていると12歳児永久歯カリエスフリーがほぼ達成できることは、新潟県弥彦小学校ですでに実証されています。(4歳からのフッ化物洗口&小学校でシーラントを実施することで平成9年に12歳児DMFT0, 13本)

子どもの場合う蝕が減ると、次の問題は不正咬合です。

「ずっと定期健診に来ていた子どもが5年生になり、カリエスフリーは達成したけど気が付けば不正咬合」という苦い経験をどなたもお持ちだと思いま す。ところが、いつ、どんな所に気をつければいいか知ろうと思っても、今まで、成長期の子どもの咬合育成についてわかりやすくまとめられた本がありません でした。

また、患者や保護者に「指しゃぶりなど悪習癖の歯列咬合への影響」を説明するとき、言葉では上手く伝わらず、まどろっこしい思いを経験された方も多いと思いますが、やはり説明に使える良い本はありませんでした。

このたび出版された「子どもの不正咬合 一般歯科医に伝えたい考え方と早期発見のポイント39」(井上裕子著、クインテッセンス出版)は子どもの歯 列・咬合育成がわかりやすく学べて、しかも、患者説明にも使える歯科医師、歯科衛生士必読の本です。内容は簡潔に7章39ポイントにまとめられています。

・第1章は一般歯科医が気をつける事として–指しゃぶり、鼻閉・口呼吸、扁桃肥大、食生活、頬杖、舌癖など8項目
・第2章は1期治療、2期治療についての説明–考え方、時期など3項目
・第3章は骨格の問題について–顔面の非対称、早期に治療が必要な出っ歯・反対咬合とは、開咬と嚥下・咀嚼の関係、過蓋咬合は顎関節症を起こしやすいなど5項目
・第4章は歯の萌出の問題について–下顎前歯の叢生、安易に下顎乳犬歯を抜いてはならない理由、犬歯の萌出異常、第2大臼歯の難生や鋏状咬合など6項目
・第5章は子どもの顎関節症について–成人の顎関節症との共通点と相違点、子どもの頃の対応が惜しまれる症例、抜歯して矯正治療すると顎関節症になるか、顎関節症の子どもや若者を減少させるためになど10項目
・第6章はカリエスとリスクとぺリオリスクについて–サリバテスト紹介など3項目
・第7章は子どもと保護者への接し方として–著者の子どもの矯正治療に対する思いなど4項目

最初から最後まで随所に著者の豊富な知識と、子どもに対する暖かいまなざしがあふれています。もっと詳しく知りたい読者のために各項目内に参考図書 を写真入りで紹介しているのも親切な企画です。もちろん、いま話題の姿勢、頬杖、口呼吸、筋機能訓練、乳歯反対咬合の早期治療、食生活についても述べられ ています。

39ポイントのほとんどが2ページの見開きで読みやすいうえ、80症例、400点の豊富なカラーの症例写真、矯正装置の写真があるため患者説明用と しても使えます。「このケースと同じですよ」と症例写真を示しながら説明することは、患者、保護者の理解を正確にするでしょう。カルテに「子どもの不正咬 合」何ページを説明と記載するだけで、開業歯科医にとっては誤解によるトラブル回避策にもなります。また、一般歯科医にとっては、どんな症例にどんな矯正 装置を使ったかの症例写真は臨床のヒントにもなるでしょう。

待合室に1冊、診療室に1冊、スタッフルームに1冊、院長室に1冊あっても良い本です。ぜひご一読ください。

最後に、著者の井上裕子先生は研究会の会員で、講演も好評です。これからの活躍が期待されます。

『チェアーサイドの禁煙支援ガイドブック』

チェアーサイドの禁煙支援ガイドブック―紫煙から支援へあの手この手を楽しみながら

 書評:高木景子(神戸市開業)

(著者;渡辺 勝/長山和枝 出版;デンタルダイアモンド社 定価;2,940円(税込))

お口の健康を守っていくうえで禁煙はとても意味のあること。それはわかっているけれど、患者さんを「禁煙させる」のはむずかしい… たしかにそうだ。最初は誰もがそう感じるだろう。

禁煙は「教育」でも「指導」でもなく、「支援」である。「禁煙させる」のではなく、患者さんの「禁煙しよう」という気持ちをサポートし応援すること だ。どうやってお手伝いしようか? そういう気持ちでわれわれが取り組めば、禁煙支援はむずかしさが激減し、楽しさがぐんと増すことになる。

歯科医院はじつは禁煙支援に最適な場所ではないかと思う。禁煙したい人もしたくない人も、禁煙できた人もできなかった人も、歯科医院には通い続ける のだから、アプローチもフォローも自由自在。禁煙できた患者さんからは感謝され、一緒に喜ぶことができる。残念ながら再喫煙してしまった患者さんとも、お 付き合いは続き、はげまし、再チャレンジを勧めることもできる。こんなやりがいと楽しさにあふれた禁煙支援、やらない手はないはず。

では実際にどうするか? この本にはさまざまなヒントが書かれている。どこから手をつけたらいいかわからない人、やってみたけどうまく行かなかった 人、それぞれのぶち当たった壁を乗り越えるためのヒントがあちこちにちりばめられている。禁煙支援、やってみたい! と思う人がまず手に取るのに最適の1 冊だと、おすすめする。

 

『歯科衛生士臨床のためのQuint Study Club だれでもバッチリ撮れる!口腔内写真撮影』

 だれでもバッチリ撮れる!口腔内写真撮影

 書評:土屋紘美/まさき歯科医院・歯科衛生士

(監修;中野予防歯科研究会 著者;飯田しのぶ・山口志穂 出版;クインテッセンス出版 2008年6月 定価;3,360円(税込))

皆さんは口腔内写真をどのように活用していますか?

患者さんに今のお口の中の状態を説明するときや、術前術後を比べるときなど、口腔内写真はとても重要な資料ですよね。私たちは限られた時間の中でたくさん のことをしなくてはなりません。しかし、口腔内写真を撮るのは結構時間がかると思いませんか? また、せっかく撮ってもピントがあっていなかったり、見た いところが撮れていなかったり。上手く撮れないと、ただの時間のロスになってしまいます。そうなると、なかなか次も口腔内写真を撮ろうという気持ちにはな りませんよね。

この本には皆さんの苦手を解決する方法がたくさん書いてあります。

始めは、基本的な撮り方が部位別に詳しく書いてあります。術者の位置や患者さんの顔の向き、ミラーの挿入方法、口角こうの引き方などたくさんの写真と共に掲載されているので、これから口腔内写真を練習しようとしている新人歯科衛生士の皆さんにも最適だと思います。

また、きれいに口腔内写真をとろうとすると、撮ることに専念してしまって、患者さんのことを忘れがちになってしまっていませんか? いくらきれいな 口腔内写真を撮っても、患者さんに不快な思いをさせてしまっては、台無しですね。この本には、口腔内写真を撮っている時に患者さんがどんなことを思って、 感じているか、術者として患者さんへどのような心配りができるか。声のかけ方や、そのタイミングなども詳しく載っているところもとても良いと思いました。 私はここで、改めて自分の口腔内写真の撮り方や、患者さんの気持ちを考え直してみることができました。その他にも、「何回練習しても失敗してしまう」とい う写真から自分の癖を知ることで、ステップアップできるような項目もあって、自分の苦手もすぐに解決することができます。

この本は、写真やイラストが多いので、あっという間に読むことができます。本を読むのが苦手な私でも楽しく読むことができました。そして、読み終え た時には自分の苦手も克服できて、これから口腔内写真を撮ることが楽しくなるはずです! 飯田さん、山口さんのたくさんの心配りがなされている本だと思い ました。ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

 

『別冊歯科衛生士 う蝕・歯周病予防のためのリスクアセスメント&コントロール』

う蝕・歯周病予防のためのリスクアセスメント&コントロール

 書評:渡辺 勝/春日部市開業

『別冊歯科衛生士 う蝕・歯周病予防のためのリスクアセスメント&コントロール』

(著者;景山正登 出版;クインテッセンス出版 2007年12月 定価;4,515円(税込))

リスク評価に関して、数多くの方法が開発され臨床応用されているが、その目的や手法について臨床家の視点で詳しく記された書籍は今まで存在しなかっ た。リスクコントロールに関しては、様々な考え方が主として経験的な視点で述べられてきたが、その根拠となるものと関連が示されている書籍は少なかった。 今回、本書が発行されたことで、これらのことが明確になっている。

リスクコントロールの結果は時間がたたないと、その評価はむずかしい。そのために、長期にわたる患者の参画が絶対条件だが、これらのポイントについ ても、景山歯科医院ならではのポイントがちりばめられており、すぐに臨床応用しやすいつくりになっている。大学時代、組織学を専攻していた強みをいかし た、臨床例と似通った顎骨の写真、そして「力」の観点からの考察も含まれているのもこの本の特徴と云えるだろう。長期にわたる臨床経過を記録として残して きた氏の豊富な症例と、そのバックグラウンドになる根拠についての解説も図やグラフを多用することで視覚的にもわかりやすく、解説も平易に書かれており、 どんなレベルの人でも理解を深めることができる。

これからの時代を、歯を長持ちさせ快適で健康な口腔を維持させようと考える歯科医療者にはぜひとも読んでもらい、臨床の糧として頂きたい一冊である。

 

『むし歯って、みがけばとまるんだョ――削って詰めるなんてもったいない!』

むし歯ってみがけばとまるんだヨ

 書評:吉弘 幸/たかはし歯科

(著者;岡田弥生 出版;梨の木舎 2008年2月 定価;1,575円(税込))

著者は、20年間、乳幼児の歯科健診に従事してこられ、その経験のなかから得たものがこの本の中に凝縮されています。内容はいろいろ興味深いものがあり、その中で私が考えさせられたことが三つありました。

一つ目は、「むし歯」についてです。一般の人は、「むし歯」と聞くと穴のあいた状態を思い浮かべることでしょうが、穴になるまでには過程がありま す。その過程で私たち歯科医療従事者がやるべきことがあります。初期のむし歯を発見できない・発見しても適切なアドバイスも出来ないようではいけないこと を強く感じました。

二つ目は、この本のタイトルである“むし歯ってみがけばとまるんだヨ”という現実です。このことを患者さんに具体的に伝え実行していき、本の中に出てくる「花まるむし歯(初期むし歯を手入れして治した虫歯)」をどんどん増やしてお母さんや子どもの自信につなげていくことが私たちの役目であると思いま した。

三つ目は、歯科健診のありかたについてです。私には二人の子どもがいます。歯科健診においては毎回違う歯科医師に診てもらい、むし歯の「ある」「なし」のみの健診に疑問を感じていました。著者のような歯科医師に出会い、同じ目で診てもらうことほど安心感のあるものはないと思います。むし歯があっても 「むし歯ってみがけばとまるんだヨ」と言ってもらって次の健診で「むし歯の進行は止まっています。大丈夫です」と言ってもらえれば、自信を持って育児がで きると思います。

これから親になる人、子どもをむし歯にさせたくない人に読んでもらいたいと思います。まさに、歯の育児書とよべる1冊です。当医院の待合室には勿論、さらには産婦人科の待合室、乳幼児健診の場にも置いていただきたいです。

 書評:奥富恵美子/会員支援部会・禁煙支援部会

長く保健所で地域貢献しておられる会員の岡田弥生さんの新刊です。

「渾身の一冊です!」という一言とともに「大多数の歯科医には不愉快な内容と心配ですが…?」との手紙も一緒に届きました。長年、保健所という貴重な現場 で多くの口の中をみてきた岡田さんだからこその、正直なおもいでしょう。どんなにがんばっても、まだまだの現状があります。今、何をするべきでしょう か…?

岡田さんとは、10数年前、日本医大の癒しの環境研究会で発会時に知り合い、たくさんの知己を得、教えて頂き、そして熊谷先生を杉並にお呼びになっ たときに、私たちに予防の扉をあけてくださいました。ターニングポイントでした。その後、岡田さんは大病なさいましたが、子供たちから高齢者まで、いつも、人の尊厳と歯の尊厳はイコールなのよ!と温い熱いまなざしで活動されています。立ち止まらない人です。

話は変わりますが、先日食事にいったホテルは混んでて、案の定待たされたのですが、そこへ子供連れの若夫婦が入ってきて、待つことになりました。若いパパが「あっ、あそこが座れる。◯◯ちゃん、あそこに座って待ちなさい」と言ったところ、年長さんくらいでしょうか?小さいお嬢さんが喫煙コーナーのマークをみて「パパ、あそこはタバコを吸っている。座ったらダメ!」といったのでした。今は小さい頃から禁煙授業があります。

つい最近テレビで、石川烈さんが解説した歯周病の特集があり、サイトカイン、IL-1、TNF-αとテロップが出て、10年前基礎コースで伊藤中先 生が細菌の名前をスラスラおっしゃったことを思い出しました。今はテレビで、一般の方にも伝えられます。そして人々の健康観が進む一方で、医療者側のにっちもさっちもいかない旧態依然の現状があります。医療者はどうあるべきか。今、何をすべきか…。日々の診療に誇りをもっているか…。岡田さんは、いつも問いかけます。

本の中で、医師と患者の信頼関係ははじめからあるものでなく、相互に創り出すもの。また、患者さんには本気になって伴走してくれる人を選ぶこと…と訴えています。「保健所勤務だと臨床してないんだろ?」なんていわないで、ぜひ、お手にとって読んでください。

まだまだ、やることはたくさんあります。できることもたくさんあります。近所の本屋さんに、この本を置いてくれるよう頼みましたら、快くオーケーでした。何かが動き始めています。

私達も足元を見つめながら、もっと発信しましょう。

 

『新 口腔内写真の撮り方』

新 口腔内写真の撮り方

 書評:杉山精一/コアメンバー・八千代市開業

(著者;熊谷崇/熊谷ふじ子/鈴木昇一 出版;医歯薬出版 2007年9月 定価;9,240円(税込))

「規格性のある口腔内写真を撮る」ことが私たちの臨床で大変重要な意味をもっていることに異議を唱える人はいないでしょう。私が「歯科症例写真」と違った「規格性のある口腔内写真」を知ったのは今から12年前、東京医科歯科大学での熊谷崇さんのセミナーでした。いつも 決まった倍率、同じ方向から同じ部位を、しかも歯科衛生士がミラーを使って一人で撮影するということを聞いたときは、正直いって「そんなこと私の医院では 不可能!」と思いました。しかし次々とスライドに映されるすばらしい写真をみているうちに「何とか私の医院でも取り入れたい!」と思うようになりました。 セミナー修了後に早速買ったのが「口腔内写真の撮り方 第1版」でした。この本をスタッフと読んで相互練習を行い、診療中には、撮影場所・倍率・方向を確認するためのコピーをいつもポケットに入れ、実際の撮影の時にはキャビネットにおいて確認しながら撮影をスタートしました。

あれから12年、プレゼンはスライドからパソコンに、カメラは銀塩フィルムからデジタルに変わりましたが、規格性のある口腔内写真は、普段の診療にはなくてはならないものになっています。

今回の本では、従来の銀塩フィルムカメラからデジタルカメラに変わったことについての解説がされ、撮影方法については第2版以上にミラーテクニック、口角 鉤の使い方などそれぞれ失敗例もいれながら事細かに実際の写真入りで解説がなされています。また、所々に「コーヒーブレイク」として口腔内写真への理解を深めるためのミニ知識も書かれています。

これから規格性のある口腔内写真を始めようという医院はもちろん、新しく入ったスタッフへの教育用テキストに使うことによって新人教育の効率も高まると思いますので、多くの医院で活用される本として推薦いたします。