歯科衛生士業務(診療補助)に関する 業務ガイドライン

地域住民の健康を守り育てるためには,歯科医師や医師ばかりでなく,多様な保健・医療専門職や教育・福祉介護関係者の連携協力が不可欠です.そのなかで,かかりつけの歯科診療所は,地域住民の健康を家族単位で生涯にわたって守る役割をもっていますが,それを支えるのは,歯科医師はじめ歯科衛生士,歯科助手,受付,歯科技工士などのチームです.とりわけ,長い年月にわたって通院者に深くかかわり寄り添う歯科衛生士の存在は重要です.
しかしながら,古い考え方では,歯科衛生士を歯科医師の手伝いのように考え,いまも歯科衛生士自身が自分で考え,患者にかかわることを軽視する風潮が一部に残っています.また,法律を誤って解釈して歯周病患者の歯周組織検査や歯周初期治療,メインテナンスケア等を歯科衛生士が実施することについて,法的根拠がないと主張する歯科医師もいます.


地域住民が,痛みの除去や歯の修復だけではなく,健康と若々しく快適な生活を維持し,そして障害があっても楽しく暮らすためには,「由らしむべし知らしむべからず」の歯科医師中心の修復治療に偏った医療ではなく,むしろ患者さん自身の健康意識と行動を変えることが最優先です.このようなヘルスケアを重視した診療では,チーム医療にかかわる職種の自立心や責任感,そして専門家としての知識と経験,職能としてのプライドと自覚が求められます.わたしたちは,このような時代の要請に即して,歯科衛生士がその業務を適切,適法に実施していくことができるように,歯科衛生士の診療補助」に関するガイドラインを作成します.(「はじめに」より)

業務ガイドライン(PDF)

コメント Q&A

当ガイドラインについて、賛否、学会内外を問わず多くの方々のご意見をお待ちしております。

6 Comments

  • 秋元秀俊 より:

    日本歯科医師会の三代知史常務理事は、第198回定時代議員会(令和4年6月16-17日)において、鈴木仙一代議員の質問に答えて「歯科衛生士による局所麻酔の合法について」次のように、否定も肯定もしない回答をしました。

  • 秋元秀俊 より:

    日本歯科麻酔学会と日本歯周病学会は連名で、2022年9月21日に「歯科衛生士による局所麻酔行為に対する見解」を発表しました。従来、歯肉縁下のインスツルメンテ—ションに際して必要な浸潤麻酔は、診療補助行為のひとつと理解されてきましたが、各種の団体が歯科衛生士を対象とした局所麻酔の研修や認定制度を実施するようになり、また歯科麻酔学会にその適否を問われたことから、検討を進め、見解発表となったものです。その見解によると、「全身管理や救急処置について十分な知識と技術を修得した歯科医師が」対応する必要がある、と実質的に現在の教育レベルで実施することは好ましくないと結論しました。今後、歯科衛生士の卒前・卒後教育体制の整備によって対応すべきものという見解です。

  • 秋元秀俊 より:

    日本歯周病学会は令和3年3月3日に次のような見解を公表しました。

  • 秋元秀俊 より:

    日本歯科医師会は、同会雑誌平成2年(1990年)11月号で、以下の見解を再確認しています。

    昭和61年の調査により、「歯科衛生士の歯科診療補助業務の適法性は、主治の歯科医師の指示の適否に係っている。」とし、1つの行為の名をあげて一律に指示の適否をあげるのではなく、患者の状態、その行為の影響の軽重、歯科衛生士の知識技能の状態等によって異なるとされる。

    絶対的禁止行為のひとつとして
    歯石除去術のための鎮痛処置を除いた薬剤の皮下注射や歯肉注射
    を挙げ、歯科衛生士の局所麻酔は「歯石除去術のための鎮痛処置」に限定されるという見解を示した。

  • 秋元秀俊 より:

    度々、お問い合わせがありますので、この最終的な根拠となっている日本歯科医師会の昭和61 年の調査報告書(榊原悠紀田郎、能見光房。末高武彦による報告)の該当部分を示しておきます。

  • 秋元秀俊 より:

    このガイドライン28では、衛生士が歯肉縁下のインストゥルメンテ—ションに際して、必要な局所麻酔(浸潤麻酔)を指示することを掲げていますが、その可否については、厚労省研究班が直接的行為を絶対的医行為としたことから疑問視する見方があるようです。
    http://www.t-file.org/Archives/iryou_wg_paper1.html

    しかし、麻酔行為については、昭和40年7月1日の医事48(添付)で、相対的医行為である旨、厚労省は見解を出しています。

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