■PECO
PECO(Patients Exposure Comparison Outcome)
最近よく耳にするEBM。その第一ステップで用いられるPECOについて探っていきます。
PECO コラム1
斉藤 仁/コアメンバー・札幌市開業
ある日株式会社ジーシー*の歯科衛生士さんが、「音波ブラシが新しくスリムになりました」とパンフレットとキャンペーンのチラシを置いていきました。今まで当院では音波ブラシについては「おそらく有効だろうな。でも高いし、重いし、以前に電動と手用ブラシを比較してプラーク除去効果に差がないと言うような文献を読んだような気もするし、手用ブラシの使用を患者さんに適切にアドバイスすれば特に電動ブラシを勧める必要は無いだろう」というスタンスをとっていました。患者さんから電動ブラシについて聞かれても「悪くはないが、特別すばらしいものでもないので手でしっかり磨けることが基本です」という答え方をしていました。しかし、たまたまその日にメインテナンスに来院していた、ある小学生の口腔内がすごく汚く、(それはいつものことなのですが。)プラークがこってりと付いていたのを見た時、「このような子供には音波ブラシを与えるとひょっとしたら手用の時よりきれいになるのではないか?」と思いました。しかし手用の何十倍もの値段の音波ブラシを患者さんに勧めて購入してもらうのですから、「手で磨くよりもきれいになりますよ」と自信を持って言えた方が良いし、そのためにはきちんとした根拠が必要であると考えました。このような場合皆さんならどうしますか?
などいろいろ方法が考えられると思います。ひとまず、音波ブラシのメーカーに問い合わせて、関連した文献を送ってもらいました。取り寄せた文献は歯科大学の学生を使って音波ブラシと手用ブラシのプラーク除去効果を調べる研究で、結論は「短い期間ではプラーク除去効果に差はでないが、数ヵ月使い続けると音波ブラシの方が若干効果が高い」というものでした。しかし、歯科大学の学生はもともとある程度歯磨きはちゃんとするだろうし、その人達で効果に差がみられてもその差ってそんなに重要? 時々歯磨きをさぼるような小学生の場合にも当てはまるのか? 私の抱いた疑問に対する答えにはなっていないように感じました。『いつも親に「ちゃんと歯磨いたの!」と叱られながらも「みがいたよ〜」って言って本当は適当にさぼっている子供に音波ブラシを与えたら劇的に口腔内がきれいになった』という文献があれば一番いいのに・・・ さてどう考えたらいいのでしょうか・・・
* 株式会社ジーシー:http://www.gcdental.co.jp/
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