ヘルスケア歯科学会誌

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日本ヘルスケア歯科学会誌 第16巻 1号 J Health Care Dent. 2016.PDFファイル:6165KB


日本ヘルスケア歯科学会誌 第15巻 1号 J Health Care Dent. 2015.PDFファイル:5434KB


日本ヘルスケア歯科学会誌 第14巻 1号 J Health Care Dent. 2014.PDFファイル:3790KB

エナメル質形成不全(MIH)—わが国におけるMIH 発症に関する大規模調査から

桜井敦朗 東京歯科大学講師 / 新谷誠康 東京歯科大学教授 東京歯科大学小児歯科
Molar-Incisor Hypomineralization(MIH)とは,第一臼歯と切歯に限局して発症する原因不明のエナメル質形成不全である.調査は2012年4月から6月,千葉県内の小学校に通学する7~12歳の児童(3,348名)の保護者に対し,事前に本調査の目的に関する説明を行い,文書による同意を得た2,121名を対象に行った.

J Health Care Dent. 2014; 1: 6-12.PDFファイル:337KB

定期管理中の患児における新たなう蝕リスク要因

藤木省三
長年予防的定期管理を続けていても完全にう蝕の発症を抑制することは実現できていない.そこで,現在年齢10歳以上20歳未満の,初診から現在までの期間が6年以上,かつ2012年1月1日以降に受診している患者117名を対象に調査を行った.

J Health Care Dent. 2014; 1: 13-17.PDFファイル:269KB

一般歯科医院におけるメインテナンス患者分析―質的研究法を利用したpilot study

加藤智崇/牧野路子/杉山精一/豊島義博/南郷栄秀/内藤 徹
一般歯科医院において,7年以上の継続的にメインテナンス治療を受信している患者に対し,インタビュー方法で調査を行った.

J Health Care Dent. 2014; 1: 18-24.PDFファイル:400KB

咬合障害・審美障害など様々な問題を呈する重度慢性歯周炎に罹患した女性患者の歯周治療

宮本学/椋橋 恵
本症例報告は,歯の動揺や歯肉の腫脹など歯周病の急性炎症の著しい症状と歯の欠損,前歯部の歯肉退縮などさまざまな問題を抱える患者の治療報告である.

J Health Care Dent. 2014; 1: 25-31.PDFファイル:690KB

カリエスリスクの改善が困難な小児において非侵襲性歯髄覆罩(AIPC)により抜髄を回避した一症例

斉藤 仁/宮野栄利香
さまざまな家庭環境によりカリエスリスクを改善することが難しく,治療を中断し,口腔内が崩壊していく小児が存在する.本症例では治療の中断を頻繁に繰り返すなかで,タイミングよくAIPC(非侵襲性歯髄覆罩)を行い,抜髄を避けることができた症例を紹介する.

J Health Care Dent. 2014; 1: 32-35.PDFファイル:457KB

歯周治療後に生じた上顎前歯部歯肉の審美障害を歯周基本治療と禁煙により改善した一症例

千草隆治/櫻井彩乃
骨吸収を伴う歯周病の治療終了後,歯肉退縮の結果として,審美的障害を引き起こすことがある.今回,他医院で非外科的も歯肉縁下歯石の除去を行い,歯肉退縮を引き起こしたことに不安を抱き当医院を受診した患者に対して,十分なインフォームドコンセントを行うとともに,ていねいな歯肉縁上および縁下のスケーリングとプラークコントロールを行った結果を報告する.

J Health Care Dent. 2014; 1: 36-41.PDFファイル:551KB

広汎型重度慢性歯周炎治療後のメインテナンス期にバセドウ病の診断を受けた患者の経過観察症例

高橋 啓/大野由衣
高齢社会に突入し,歯科医院を訪れる患者の多くが何らかの全身疾患を抱えている.今回,重度慢性歯周炎のメインテナンス中にバセドウ病の診断を受けた患者の経過を報告することで,まだほとんど報告のないバセドウ病と歯周病の関連を共有していくことを目的とした.

J Health Care Dent. 2014; 1: 42-47.PDFファイル:729KB

臼歯部のデンタルエックス線写真を平行法で撮影するための工夫

滝沢江太郎
歯周病の診査では最も基本的な常識であるにもかかわらず,エックス線写真撮影に関する成書に,臼歯部を平行法で撮影する方法を記載していたものはなかなか見当たらない.本稿では,臼歯部のデンタルエックス線を平行法で撮影するための諸条件の検討を行った.

J Health Care Dent. 2014; 1: 48-53.PDFファイル:690KB

ミラーレスカメラの口腔内撮影への適応性についての検討

藤原夏樹
口腔内撮影で使用するカメラは,現在ほとんどがデジタル式の一眼レフカメラとマクロレンズの組み合わせである.今回は,ミラーレスカメラの口腔内撮影における有用性を検討した.

J Health Care Dent. 2014; 1: 54-56.PDFファイル:244KB

<調査1> 歯科診療所における初診患者の実態調査とその推移 第6報

藤木省三/秋元秀俊
今回で7回目となるこの調査結果は,各々の診療所の初診患者の特性の推移,あるいは定期管理の成果を評価する際の比較対照群として用いることができるとともに,かかりつけ歯科をもたない全国の受診患者の平均像とその推移を知ることができる.

J Health Care Dent. 2014; 1: 57-73.PDFファイル:698KB


日本ヘルスケア歯科学会誌 第13巻 1号 J Health Care Dent. 2012.PDFファイル:3,240KB

メインテナンス期の歯の喪失に影響を与える因子の解析―メインテナンス群と非メインテナンス群におけるリスク因子の比較

藤木省三/野村朱美/原田郁子/篠原千恵/小坂結香/内藤徹/野口哲司/牧野路子/内藤真理子
今回の研究は,歯科診療所の診療データベースを利用して,メインテナンスへのコンプライアンスの良い群と悪い群との間には,歯の喪失イベントの発生に差があるか調べることとした.また,メインテナンス期間中の歯の喪失には,どのような因子が関連しており,それらの因子の寄与の程は,コンプライアンスの良好な者とコンプライアンスの不良の者との間に違いがあるかどうかを見ることとした.

J Health Care Dent. 2012; 1: 6-13.PDFファイル:257KB

定期管理型診療所における永久歯の抜歯原因調査

藤木省三/伊藤 中/上田芳男/大久保篤/斉藤 仁/鈴木正臣/闍木景子/高橋 啓/滝沢江太郎/千草隆治/濱口茂雄/山中 渉
本調査の対象は,本学会会員であり本学会の患者情報データベース(ウィステリアpro)を活用している12診療所で,そこに来院し抜歯処置を受けた患者の記録を匿名化して収集し,集計した.

12診療所の抜歯の主原因は,う蝕(う蝕および根尖病変による抜歯):2,699 歯(30.4 %),破折: 1.674 歯(18.9%),歯周病:3,873歯(43.6%),その他の原因(便宜抜歯など):634歯(7.1%)となった.今回の調査では,12診療所の抜歯記録を集めるにとどまったが,それでも8,880歯の抜歯記録を集めることができた.今後,協力診療所を増やし,さらに充実した調査を行いたいと思う.

J Health Care Dent. 2012; 1: 14-21.PDFファイル:595KB

チェアサイド嫌気培養検査にもとづく根管内無菌化療法 第1報 治療成績

橘 直哉
根管内容物をチェアサイドで嫌気培養することによって根管内の無菌化を評価し,その後に根管充頡をする手順で根管治療に取り組んで14年を経過した.この療法は,原理的には合理的であるが,実際の臨床成績はほとんど報告されていないため,今回,治療成績を報告する.

J Health Care Dent. 2012; 1: 22-25.PDFファイル:317KB

チェアサイド嫌気培養検査にもとづく根管内無菌化療法 第2報 長期経過と症例報告

橘 直哉
根管治療の難症例に対して,チェアサイドでの嫌気培養と根管内の無菌化療法を行った治療成績を報告しが,その臨床例につき長期のフォローアップの結果を報告する.

J Health Care Dent. 2012; 1: 26-30.PDFファイル:433KB

歯性病巣が原因と考えられる皮膚症状とその改善

押村 進/押村侑希
様々な皮膚疾患を有する患者で,皮膚科的治療のみでは改善せず,そのために金属アレルギーなどを疑って歯科医院を受診する患者が増えている.今回,金属アレルギー様症状の原因が歯性病巣感染であった2 症例を経験したので報告する.

J Health Care Dent. 2012; 1: 31-35.PDFファイル:403KB

ICDASを取り入れた新しいう蝕治療マネジメント―日本における普及に向けた問題点把握のための調査

日本ヘルスケア歯科学会 ICDAS部会
ICDASを取り入れた新しいう蝕治療マネジメントを日本で普及させることが必要であるが,今までの修復を主体としたう蝕治療の流れと大きく異なるため,普及にあたっての問題点を事前に把握しておくことが必要であると考え,千葉県 4 地区と兵庫県 1 地区合計 5 つの歯科医師会(5 地区合計所属歯科医院数;1,092医院)に講演会の開催をお願いし調査を行った.

調査に参加した医院数は 117 医院(10.7%),卒後15年以上の歯科医師が86%と臨床経験の長い歯科医師の
参加が多かった.ICDASについては,比較的多くの歯科医師が臨床導入に前向きで,半数近くの歯科医師が新しいう蝕治療のマネジメントの臨床導入により「現在より切削治療が減少すると思う」と回答した.問題点としては,診査時間,保険導入の要望とスタッフの研修について,が多かった.ICDAS,XRの診査区分の解説は,講演で理解ができるようであるが,実際に医院に導入するには,さらに具体的な解説が必要に思われた.

J Health Care Dent. 2012; 1: 36-47.PDFファイル:1060KB

ICDASの認知度と臨床導入における問題点に関する調査(第2報)

日本ヘルスケア歯科学会 ICDAS部会
日本ヘルスケア歯科学会の会員の中で,「すでにフォトパネルを購入した会員」についての臨床導入調査について報告する.

J Health Care Dent. 2012; 1: 48-52.PDFファイル:279KB

小児用歯磨剤(および歯磨剤類似商品)のフッ化物配合に関する調査

木村慎一
日本ヘルスケア歯科研究会小児歯磨剤研究会では,2009年7月に市販の小児用歯磨剤および歯磨剤類似商品を実際に購入して,フッ化物配合の有無,フッ素濃度,フッ素濃度の表示の有無について調査を行った.前回の調査から 3 年経ち,市販歯磨剤にも変化が予想されるため,再調査することにした.

J Health Care Dent. 2012; 1: 53-58.PDFファイル:711KB

ウィステリア・ユーザー調査

日本ヘルスケア歯科学会 臨床データ活用委員会
日本ヘルスケア歯科学会事務局からウィステリア ver.3.0 以降のユーザー242 人全員に対してアンケート調査用紙を郵送し,記入後再び事務局に返送していただく,無記名式の質問紙法郵送調査を行った.今回はその結果を分析報告する.

J Health Care Dent. 2012; 1: 59-64.PDFファイル:293KB


日本ヘルスケア歯科研究会誌 2010年 第12巻 1号 J Health Care Dent. 2010.PDFファイル:1,850KB

〈12歳児DMFT=1〉時代の「こどもの健康手帳」

杉山精一
「日本ヘルスケア歯科研究会誌」は,本号をもって終刊となり,「日本ヘルスケア歯科学会誌」に引き継がれます.学会誌は,原著を重視し,査読委員の査読を必要とするものですので,大きな飛躍が必要になります.

新しい学会誌は,患者中心の医療を実現するため,修復・補綴に偏ることのない経過を重視した症例報告,メインテナンスケアの実績報告,臨床データから生まれる臨床疫学研究,QOL 研究や患者のナラティブに着目した研究など他に例のない特徴をもつ学会誌となることが期待されます.

J Health Care Dent. 2010; 1: 4-5.PDFファイル:261KB

ICDASの認知度と臨床導入における問題点に関する調査(第1報)

日本ヘルスケア歯科研究会
ICDASについての認知度およびICDAS の臨床導入に関する考え方,臨床導入にあたっての準備,既に臨床導入している診療所では,どのような問題点や導入後の変化があったか,さらに研究会で作成したフォトパネルについての評価について質問紙による調査を行った.

期間内の回収件数は320(送付総数1,206,回収率26.5%)、内訳は歯科医師285人(回収率27.2%),歯科衛生士35人(21.8%)であった.
この調査は,回収率が26.5 %(回答者320 人)と低く、ICDASに関心の低い会員の反応が低調だったと推測され、ICDASへの高い関心を示す人たちに偏った結果と解釈すべきだが、回答者のICDAS-II の認知度は極めて高く、その認知はフォトパネルコード表によって与えられたものとも推測される.

J Health Care Dent. 2010; 1: 6-12.PDFファイル:363KB

フッ化物応用の開始年齢についてのコンセンサス

田浦勝彦
本稿ではフッ化物の利用開始年齢を上顎乳歯の萌出から始めることを支持する,その根拠についてを述べる。諸外国では,生後すぐから水道水のフロリデーションや食塩のフロリデーションという環境の中にいるため,知らず知らずのうちにフッ化物に接している。

しかし,わが国の環境では歯科関係者が住民・患者に,「フッ化物をうまく使うことによって口腔の健康を保てます」というアドバイスをしていかなければならない。
乳歯の萌出期(生後15~30ヵ月)は,歯のフッ素症を作りやすい,感受性が非常に高い時期(“susceptibility window” Evans and Stamm,1991)だと言われている。そのため,慎重な方法がとられているが,この時期にうまく応用することが大切である。歯のフッ素症(dental fluorosis)は,歯の歯胚形成期に過量のフッ化物を長期間摂取することによってエナメル質形成不全が現われるものである。歯のフッ素症が歯磨剤を使ってできるのかについては,残念ながら確かなエビデンスがない。今後,乳歯のうちからフッ化物の適正利用,適量なフッ化物を使っていくべきだと考えているが,それはきちんとモニターしていくべきだと思われる。

J Health Care Dent. 2010; 1: 13-17.PDFファイル:340KB

歯科医師の身近な先天異常―エナメル質の形成障害

新谷誠康
本稿ではエナメル質の形成障害についてまとめた.英語では,遺伝性の疾患であるamelogenesis imperfect(エナメル質形成不全症),遺伝性のもの以外のエナメル性の形成障害をenamel hypomineralization(エナメル質形成不全)と明確な区別がある.

また後者の中にはエナメル質減形成(enamel hypoplasia)エナメル質石灰化不全(enamel hypocalcification)と言われるものがある.これらはchronological disturbance(年代別障害)と言われ障害の原因が起こった,その時のその部分だけに,その爪痕がエナメル形成不全として残っていることを表している.

J Health Care Dent. 2010; 1: 18-24.PDFファイル:448KB

唾液と口腔内pH――緩衝能の正しい理解

渡部茂
本稿では口腔環境の恒常性を維持するメカニズム,特に唾液分泌と嚥下による希釈,口腔環境の部位特異性,唾液緩衝能などについて解説する.

各項目は以下のようにまとめられる.
1.口腔環境は唾液分泌速度の変化,それに伴うpHの変化,プラークの増殖,飲食,ブラッシングの有無等で常に大きく変化している.
2.安静時唾液のpHと刺激唾液の緩衝能は口腔の酸・アルカリ環境を左右する.
3.唾液テストは数日にわたって数回測定した上で患者の口腔全体の日常のサイクルを評価するものであり,1~2回の測定で結果が得られるような診断方法ではない.
4.口腔内は部位によって環境が異なっている.したがって脱灰と再石灰化の評価は,各部位によって異なる

J Health Care Dent. 2010; 1: 25-31.PDFファイル:439KB

臨床で気をつける咬合の問題

井上裕子
本稿では,予防できる不正咬合(鼻閉・口呼吸・低位舌,指しゃぶり・おしゃぶり,食べ物・食べ方,騁杖や寝癖についての4つの分類)と,早期発見してほしい不正咬合(骨格の問題を有する症例,歯の萌出の問題を有する症例,放置すると歯周組織や顎関節にダメージを与えていく症例の3つの分類)に関して解説する.

J Health Care Dent. 2010; 1: 32-41.PDFファイル:635KB

歯科医院でのICDAS-IIの利用とエックス線診査

闍木景子
切削する必要のないう蝕病変については,再石灰化処置を講じ経過観察をするが,客観的に正確に状態を評価して経過観察をするには,切削のためではないう蝕診断コードが必要になる。

時間軸の中でう蝕病変をとらえ,変化しているかしていないか,変化しているならどう変化しているのかが大切になってくる。ICDAS-II コードによる診査は,術者が変わっても同じように記録できるため,経時的変化を客観的に評価することができるのが大きな利点であり,患者と情報を共有しやすいことも特徴である。

J Health Care Dent. 2010; 1: 42-45.PDFファイル:331KB

<調査1>歯科診療所における初診患者の実態調査第5報(2010年)

藤木省三
今回の調査は,全国29 の予防ケア・定期管理に熱心な歯科診療所の1 年間(2009年1月1日から12月31日)の初診患者の実態を全数(男性:4,207人,女性: 6,009人)の集計により把握するものである.

調査は,初めて診療所を受診したすべての患者の,口腔内疾患の状態,喫煙習慣などを把握するもので,患者動向調査であると同時に,歯科診療所を受診する患者に絞った歯科疾患の実態調査である.
小学生までのう蝕の発生数は年々低下しているが、中高生のDMFTの改善傾向は認められない.小学校高学年から女子のDMFT が男子を上回り,中学高校生になると男女差はさらに拡大する.成人のDMFTは若年層で改善がみられている.初診患者の非喫煙,過去喫煙,現在喫煙のデータから喫煙率の低下が一段落したことがうかがえた.

J Health Care Dent. 2010; 1: 46-53.PDFファイル:526KB

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日本ヘルスケア歯科研究会誌 2009年 第11巻 1号J Health Care Dent. 2009.PDFファイル:2,597KB

11歳から15歳定期来院者におけるカリエスコントロールの報告──「カリエスフリー」は適切な表現か

杉山精一
今回の調査では,視・触診とエックス線の診査結果を分けて診査するため,歯面の状態を過去の口腔内写真においてICDAS II,エックス線検査をXRで診査した.

さらに充填歯面数と部位,シーラント歯数,メインテナンス回数を調査して,定期管理中の小児・若年者のカリエスコントロールの状態を詳しく評価することを試みた.11 歳から15 歳までに1回以上メンテナンス経験がある36名の患者を対象に以下の項目を調査した.
1)口腔内写真による歯面をICDAS IIで評価
2)エックス線検査をXRで評価
3)DMFT,DMFS,充頡歯数,部位
4)シーラント歯数
5)メインテナンス回数
結果,充填の「なし」が20名,「あり」が16名であった.「充填なし」の20名中,11名が口腔内写真による歯面診査とエックス線検査のどちらか,あるいは両方に病変を認めた.

J Health Care Dent. 2009; 1: 6-10.PDFファイル:755KB

メインテナンス患者における歯周炎の進行度別の歯の喪失について

藤木省三
本調査の目的は,10年以上メインテナンスを続けた場合の歯の喪失がどのようになるかである.大西歯科に来院している患者のうち10年以上継続してメインテナンスを受けている患者を対象に,歯周炎の進行度別に初診から現在までの歯の喪失を原因も含め,

本会の患者情報データベース「ウィステリア」の検索を元に調査した.
メインテナンス群の約13年間の歯の喪失数は,対照群に比較して40代初診グループでは1/2倍,50代初診グループでは1/3倍の歯の喪失にとどまった.対照群は,断面調査の数字ではあるが,患者層をほぼ同一の地域から抽出しているため,大西歯科でのメインテナンスによって歯の喪失を抑制できたと推定できる.
また歯の喪失原因では,初期および中等度ではう蝕関連による抜歯が多くなっているが,重度では歯周病関連の抜歯が100 %を占めている.

J Health Care Dent. 2009; 1: 11-16.PDFファイル:292KB

シンポジウムICDASが拓く新しいう蝕治療マネージメント――歯質保存療法を主役にした治療可能なう蝕病変の判定

杉山精一/豊島義博/飯島洋一/桃井保子/柘植紳平

J Health Care Dent. 2009; 1: 17-70.PDFファイル:1,832KB

<調査1>歯科診療所における初診患者の実態調査第4報(2009年)

藤木省三
この調査は,全国33の予防ケア・定期管理に熱心な歯科診療所の1年間(2008年1月1日から12月31日)の初診患者の実態を全数の集計により把握するものである。以下の資格要件を満たす協力診療所は15都道府県の33診療所となった。

1.日本ヘルスケア歯科研究会会員の診療所であること
2.初診患者の口腔内データとして,小児はDMF歯数,成人はDMF歯数,残存歯数,歯周病進行度,喫煙経験の記録があること
3.資料をデジタルデータとして提出できること
4.基本的に全員調査であること(ただし,口腔内および問診事項の情報に欠落がある患者があってもよいこととした)
調査の結果,初診患者の5歳から20歳におけるDMFTに関しては,昨年と大きな違いはみられない。小学生までのう蝕の発生数は年々低下しているが,中高等学校でう蝕が急増する傾向も一段と顕著である。小学校高学年から女子のDMFTが男子を上回るが,中学高校生になると男女差はさらに拡大する。中高生になると受診者は極端に減少するので,数値にバラツキが大きいが,中高生のDMFTの改善傾向は認められない。全データのうち,喫煙に関する項目が入力されているデータ数は少なく,受診者の全体像を推測するには不十分である。今後より多くの喫煙状況を知ることができる環境を整えていきたい。

J Health Care Dent. 2009; 1: 71-78.PDFファイル:533KB

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日本ヘルスケア歯科研究会誌 2008年 第10巻 1号J Health Care Dent. 2008.PDFファイル:2,114KB

初期う蝕判定基準―ICDAS(International Caries Detection & Assessment System)の臨床応用と今後の展望

豊島義博
わが国で一般的な日本学校歯科医会のう蝕の判定基準(C0~C4)は、う蝕の組織学的所見と疾患の重症度を直線的に(翻訳注;1対1に対応するように、あるいは線形的linear modelとして)捉えたもので、変化するリスクを考慮していない。

このような「う蝕は自然治癒することなく、放置すれば進行する」という古い疾患モデルを改める新しい判定基準を検討する必要がある。う蝕の検出基準をこのような考え方で国際的に統一するためICDASの策定作業が始まった。ICDASⅡでは、C1の中にう蝕が進行停止したものや、たんなる着色した健全歯が多数含まれていることを前提とし、観察所見を細かく分類し、切削処置の適応ではなく再石灰化促進の適応となるう蝕病変を確立しようとしている。わが国学童の歯の過剰切削傾向を改めるためには、ICDASのわが国における普及が有益である。

J Health Care Dent. 2008; 1: 6-10.PDFファイル:268KB

長期来院患者における多数歯喪失の原因に関する症例報告

藤木省三/中村愛弓/小松美保/野村朱美/原田郁子/篠原千恵/信正結香/新城里依
定期的なメインテナンスによって歯の喪失を抑制できることが知られている。しかし、来院患者を詳細にみれば、一部ではあるがメインテナンス管理下にあったにもかかわらず多数の歯を喪失してしまうケースがあることに気づく。

来院して15年以上経過した患者のうち臨床記録の確実な中年期の268人を考察したところ、全体の約1割の人(27人)が約半数の歯(218本/全喪失歯数414本)を失っていることがわかった。最近の3年間に3回以上のメインテナンスを受けた患者を“メインテナンスあり”群、0回を“メインテナンスなし”群として比較したところ、約20年の間に“メインテナンスなし”群で3.3本、“メインテナンスあり”群が1.4本の平均喪失歯数となり、2倍以上開きがあり、改めてメインテナンスの重要性を確認することができた。“メインテナンスあり”群にも、喪失歯5本以上の多数歯喪失者が18人いた。その特徴は、重度に進行した歯周炎、多数の修復であった。

J Health Care Dent. 2008; 1: 11-18.PDFファイル:482KB

歯肉を傷つけない適正なブラッシングによる露出歯根面の改善について

篠原千恵
ブラッシング法の改善によって著明な歯肉形態の改善を経験した。歯肉退縮が気になることを主訴に来院された男性患者は、初診時には硬めの歯ブラシでフォーンズ法のような歯ブラシの動かし方をしていた。

柔らかめの歯ブラシを用いて、歯肉退縮部位は軽く横に動かし、歯間部は歯ブラシの柄を縦に持って磨いてもらうことにした。3週、4ヵ月と指導を続け観察したが、10ヵ月後、プラークが落としきれず歯肉炎を起こしていたため、集中的に来院を促し、歯頚部にブラシを当てる感覚を習得してもらった。2年後くらいから退縮している歯肉の改善が認められ、次第に改善して4年8ヵ月後には、露出根面がほぼ被覆された。

J Health Care Dent. 2008; 1: 19-23.PDFファイル:303KB

エナメル質形成不全症(MIH)――症例と12歳児での発現率について 杉山歯科医院における5年間の受診患者調査

杉山精一
エナメル質形成不全(MIH)が関与するう蝕は、比較的稀と考えられている。しかし、う蝕が高い確率でコントロールできる状況になると、エナメル質形成不全のような先天的な疾患を早期に発見して、的確な時期に過不足なく処置を行うことの重要性が増す。

そこで、エナメル質形成不全の8症例を供覧した。Jasulaityteらの総説では、MIHの発現率は、5.9%~25%である。この5年間の12歳児108名の来院者の口腔内デジタル写真をPCモニタで精査した。不透明感(opacity、white opacity)、黄色不透明感(yellow opacity)、黄茶不透明感(yellow-brown demarcated opacity)、エナメル崩壊(enamel loss)の状態にある歯をエナメル質形成不全歯とし、前歯と大臼歯だけでなく、小臼歯に発現したものも数えると、108名中12名(11.1%)に認められた。う蝕の減少に伴い健全歯は増加しているが、一定の割合で発現するMIH、中心結節、さらに深い裂溝などについては、その発現率を知った上で、口腔内診査をおこなうことが重要であろう。

J Health Care Dent. 2008; 1: 24-30.PDFファイル:366KB

Doプロジェクト報告
<調査1>歯科診療所における初診患者の実態調査 第3報(2008年)

藤木省三
日本ヘルスケア歯科研究会では、定期管理型診療の影響をあまり受けていない診療所受診患者の状態を知ることを目的に初診患者のデータを集計している。この調査結果は、わが国の歯科診療所受診患者の標準になるものである。

今回は2007年1月1日から2007年12月31日までに全国26カ所の調査協力診療所に来院した10,982名について、年齢、性別、初診時年齢のほか、20歳以上については、DMF歯数、残存歯数、歯周病進行度(日本ヘルスケア歯科研究会のプロトコールによる)、喫煙経験、喫煙開始年齢、現在の喫煙の有無、初診時における過去の喫煙総本数を集計した。初診患者の5歳から20歳におけるDMFTに関しては、昨年と同様の傾向だが、15歳から18歳が昨年よりも低くなっている。また40歳代、50歳代での禁煙した人の割合が増えた。

J Health Care Dent. 2008; 1: 31-38.PDFファイル:602KB

Doプロジェクト報告
<調査4>歯科治療はQOLの維持に貢献しているか?(2008年)

内藤 徹
患者の健康にとっての歯科医療の価値を客観的に評価するため、全身のQOLを測定するための指標であるSF-8、口腔のQOLを測定するGOHAI(General Oral Health Assessment Index)指標を用いて、口腔の状態、歯科的介入、患者さんの受診パターンなどとQOLの関わりを探る。

この報告は、ベースライン調査から1年経過した時点での再調査の報告である。おもに、治療を継続している患者と治療を中断した者との間に、QOL指標などに差異が認められるかどうかを解析し、また治療中断に至る患者の背景因子の探索を行うことを目的とした。平成19年9月から12月の4ヵ月間、全国26か所の協力施設に、ベースライン調査に参加していただいた患者さんが来院されたときに質問票調査と診療記録からのデータ収集を実施し、さらに、この期間に来院がない人、治療を中断されている人に対しては郵送法によって質問票調査を行い、治療を継続されている患者さんと中断者との間の各種指標の差を調べた。その結果、中断する患者さんには、若年者や比較的残存歯数の多い方が多い。継続している患者さんはベースライン時点でのQOL指標は高いものの、1年後の追跡では低くなっていることが分かった。反対に、治療を中断した患者さんには、継続受診者よりもQOL指標が改善している人が多かった。

J Health Care Dent. 2008; 1: 39-43.PDFファイル:383KB

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日本ヘルスケア歯科研究会誌 2007年 第 9巻 1号J Health Care Dent. 2007.PDFファイル:1,688KB

患者の生涯の健康を考えるミニマルインターベンション

講演聴講記録/月星光博氏講演
このレポートは、2007年11月のヘルスケア・ミーティングにおけ月星光博氏の講演記録である。月星光博氏の講演は、ミニマルインターベンションの概念と考え方について考察するところから始まり、

外傷歯の診断における電気的歯髄診断(Electric pulp test)の重要性を強調し、いったん生活反応がなくなり変色が始まった歯の歯髄が再び生き返るtransient apical breakdownや露髄を伴う歯冠破折の症例を提示しながら、歯髄の旺盛な治癒力について注意を促した。また、歯根破折の4つの治癒経過(1 healing with calcified tissue 2 interposition of connective tissue 3 interposition of bone and connective tissue 4 interposition of granulation tissue)について、各々典型的症例を提示して紹介し、亜脱臼の歯の治癒、外傷性脱離歯の再植、脱離した乳歯の再植について主に診断に焦点をあてて解説した。そして、根尖病変が歯髄壊死の指標にはならないこと、また外傷に由来する全部性歯髄炎は、年齢が若ければしばしば歯髄の保存が可能であることを多数の症例をもって示した。最後に、歯根未完成智歯の自家歯牙移植の症例を示し、ミニマルインターベンションの頂点にある治療方法であると位置付けた。

J Health Care Dent. 2007; 1:4-23 .PDFファイル:793KB

大西歯科における子供の予防的定期管理と重症う蝕予防との関連

藤木省三
う蝕の重症化を防ぐ上での予防的定期管理の有効性を評価するため、予防的定期管理に応じたグループと応じなかったグループの2群に分け、重症化(深部う蝕および抜髄処置)について評価した。

検討の対象は、1990年1月1日から6年間の内に6歳以下で初めて受診した患者で、2005年1月1日以降に来院した者とした。該当する患者は48名で、 2003年から2007年の5年間に、メインテナンスに5回以上来院した患者を定期管理患者としてグループA(17名、現在平均年齢17.9歳)、5回未満の患者をグループB(31名、現在平均年齢19.8歳)とした。この2群では、グループAの半数以上の子供がカリエスフリーであるのに対して、グループBの半数以上はDMFT3以上、重症のう蝕は、グループAでは、外傷による抜髄処置1例と深部う蝕1例であったのに対して、グループBでは、深部う蝕が9例、抜髄処置が7例あった。う蝕の重症化を防ぐことができた原因を考えると、定期的に来院することで1.各年齢におけるリスク要因をあらかじめ患者に伝えることができる 2.乳歯から永久歯への交換期に問題となる、永久歯の萌出に伴う局所的なリスクに対処できる 3.定期的なエックス線撮影によって重症化の徴候を早めに検出できる、ことなどを挙げることができる。定期管理を継続できる患者とできない患者では、本人や保護者の意識の違いが大きいと思われるが、初診時に、より多くの患者に定期受診行動を起こさせるような動機づけを与えられれば、う蝕の重症化を確実に防ぐことができるであろう。

J Health Care Dent. 2007; 1: 24-28.PDFファイル:249KB

Doプロジェクト調査報告 調査1
歯科診療所における初診患者の実態調査(2007年度)

藤木省三・伊藤中
私たちの研究会では、すべての患者の臨床データを記録し、蓄積することを推奨している。そこで、協力診療所を募って初診患者の臨床データを毎年集計する調査事業を昨年から始めている。

2年度にあたる今年は、会員27診療所が参加し、2006年1月1日から2006年12月31日までに初めて受診した患者について、基本的な臨床データを集計した。条件に該当した患者は、10,555名で、10~70歳以上の年齢階層別DMFT、5~20歳まで年齢別DMFT、20歳以上年齢階層別(5歳区分)残存歯数、年齢階層別歯周病進行度(非喫 煙者、喫煙経験者)などについて集計した。その結果、12歳児のDMFTは1.68、20歳のDMFTは7.76であった。また喫煙経験と歯周病進行度との相関については、喫煙本数が多くなるほど中等度以上の歯周炎に罹患している人が多いことが明らかになった。国民的規模での歯科疾患の実態を把握するためには、厚生労働省による歯科疾患実態調査が貴重な資料である。この調査は、国民生活基礎調査を基に層化無作為抽出した世帯の調査であり、野外調査として信頼性が高いとされる。しかしながら、調査毎に被調査者数が減少し、1957年の調査で30,000人を超えていた被調査者数は2005年調査では、4,606名(受検診率37.2%)にまで減少している。とくに若年者の減少は著しく、20歳から24歳の男性を例にとるとわずかに合計47人の被調査者しかおらず、調査の信頼性への影響が懸念される。私たちの調査は、受診患者の調査(hospital statistics)であって国民を代表する調査ではないが、臨床の場での疫学データを蓄積する意義はますます高くなっている。

J Health Care Dent. 2007; 1: 29-35.PDFファイル:254KB

小学校における喫煙防止教室を実施して

杉山精一
喫煙者の多くは中学生ではじめて喫煙を経験している。そこで学校教育のなかでタバコの健康被害について正しい知識を繰り返し教育する必要がある。

“タバコ問題を考える会千葉”(TMKC、代表 2006年中久木一乗、2007年大谷美津子)は千葉県健康福祉部健康づくり支援課から喫煙防止出前教室事業を委託され、地元の小学校で喫煙防止教室を行った。私が実施した喫煙防止教室は、8校で対象は758名の児童であった。高学年には写真と動画を多用して喫煙の弊害を解説し、また授業前後にアンケート調査を行い、生徒の意識の変化を評価した。低学年では紙芝居をした上で、その内容を解説しながら振り返った。高学年のアンケート調査によると、家庭内に喫煙者がいる児童は58%で、過半数の児童の身近なところにタバコがある状況がわかった。授業前に「私はおとなになったらタバコを吸うと思う」という質問に「わからない」「はい」と回答した児童は25%であった。授業後「吸う」「わからない」の合計は7%に低下した。

J Health Care Dent. 2007; 1: 36-40.PDFファイル:KB

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日本ヘルスケア歯科研究会誌 2006年 第 8巻 1号J Health Care Dent. 2006.PDFファイル:1,905KB

歯科における予防の考え方、進め方

花田信弘(国立保健医療科学院口腔保健部長)
従来、う蝕も歯周病も不可逆的疾患であって治ることがない、と考えられてきた。しかし歯科疾患が不可逆的なのは、病気の進行に対して診断が遅れ、手遅れになってから介入してきたためである。

可逆的な疾病の状態を診断・治療して元通りに戻す、これを一般に二次予防と言うが、近年、う蝕と歯周病に関して治癒可能な段階で予防介入し、実績が蓄積されている。二次予防の保険給付のためには、客観的な基準値の確立が必要であろう。歯科疾患は、感染症ではあるが同時に生活習慣病であり、慢性感染症に分類される。そこで「疾病の医療」と歯科が目指すべき「健康づくりの医療、QOLの医療」を分けて考えることを提案したい。歯の健康は、健康づくりと疾病予防の双方に関わる共通リスク因子であるという意味で特別の位置にある。歯科の二次予防を拡大することが、人々のQOLを高めると同時に、全身の健康に貢献することを述べた。

J Health Care Dent. 2006; 1: 4-18.PDFファイル:636KB

日本の歯科疾患の実態 歯科疾患実態調査・8020財団の抜歯調査などから

安藤雄一(国立保健医療科学院口腔保健部)
日本においては歯科疾患の実態を把握するために様々な調査が行われているが、歯科疾患実態調査を元に最新調査の知見と個々の調査の特性を紹介する。

歯科疾患実態調査は、1957年から6年に1回の頻度で実施され、日本人の歯の状況について半世紀にわたる推移を知ることができる。2005年の調査では、歯の喪失状況の改善や、う蝕の減少傾向が一段と進んだ。無歯顎者率の推移では、55~64歳層は、1975年には5人に1人(20%)が無歯顎であったが、2005年には2%まで減少した。75歳以上でも、かつて過半数だった無歯顎者が、いまや1/3程度に低下している。その原因には歯科医師数の増加と1980年代からのフッ化物配合歯磨剤の普及が影響しているものと推測される。しかしながら、歯科疾患実態調査では、調査の受診率が減少し続けているという問題点がある。そのため、歯科の健康に関するするほかの統計調査が重要性を増している。

J Health Care Dent. 2006; 1: 19-29.PDFファイル:494KB

Doプロジェクトのスタート

杉山精一
カリエスリスクコントロールなど、リスクコントロールの考え方は歯科医療関係者だけでなく、広く国民に知られるようになってきた。しかし、現実の歯科診療において疾患の進行を未然に防ぐリスクコントロールの医療を実践するには、さまざまな障害がある。

そのもっとも大きな障害は修復に偏った出来高払いの医療保険である。しかも医療の評価は、健康アウトカムによってではなく、費消した(請求された)費用の名目によってなされている。レセプトのオンライン化によって、その傾向は決定的になるだろう。そのような費用の名目評価に代わるものとして、健康指標や臨床指標をアウトカムとして評価する活動に積極的に取り組むことにした。その情報を、患者や社会に還元し、そのような一連の活動によって歯科医療の社会的評価を高めるプロジェクト” the Japan Healthcare Dental Outcome Research Projects”に着手する。以下の調査1~4は、その最初の試みである。なお、この研究には13都道府県32診療所が参加した。

J Health Care Dent. 2006; 1: 30-32.PDFファイル:423KB

調査1 歯科診療所における初診来院患者の実態調査

杉山精一
初診の段階で予防を主目的に受診する患者は少ない。このため、どのような状態の初診患者が来院しているのか、初診患者の実態を把握することは、診療システムのベースラインとして重要である。

従来、このような目的では、フィールドの調査である歯科疾患実態調査を参考にすることが多かった。本研究会の会員診療所では、患者の臨床情報を共通のプロトコルによりデータベースとして蓄積している。そこで、データベースから個人を特定できる情報を除外した上、初診時の患者実態を知るために必要な項目のみを回収するテンプレートを作成し、効率的に多施設の患者データを収集した。この方法により、地域や診療所による偏りの少ない13都道府県30診療所の患者データが収集できた。このデータをクリーニングした後、性別、年齢別現在歯数、年齢階層別歯周病進行度について集計した。

J Health Care Dent. 2006; 1: 33-37.PDFファイル:243KB

調査2 診療機関における子供の定期管理のう蝕予防成績に関する調査報告

藤木省三/杉山精一
日本ヘルスケア歯科研究会では設立以来、子供の永久歯のう蝕発症予防に力を入れてきた。発症予防にはリスク評価と共に定期的な管理が不可欠と考えられるが、今まで定期的に受診している患者と不定期受診患者の臨床指標を比較調査したことがなかった。

また、小学校低学年から中学生の期間を前期と後期に分けると、同じように定期管理をおこなっていても前期に比較して後期での発症が多いように感じられる。そこで、6歳から10歳、11歳から15歳の観察期間における定期受診と不定期受診でのDMFTの増加をヘルスケア研究会会員診療所において調査した。

結果は、前期、後期共に不定期受診に比較して定期受診の方が有意にDMFTの増加イベントが少ないことが明らかになった。特に、DMFTの増加が2以上、3以上の重症イベントにおいては差が顕著であった。前期、後期の年齢階層の影響では、定期受診、不定期受診共に前期に比較して後期のう蝕発症イベントが多いことがわかった。

今後、年齢階層間の差の原因、定期受診と不定期受診の差の原因を追求することでより有効なう蝕予防を目指すことが求められている。

J Health Care Dent. 2006; 1: 38-45.PDFファイル:370KB

調査3 歯科診療所での成人のメインテナンスと歯の喪失についての調査

杉山精一
日本の歯科診療所におけるメインテナンスケア(定期健診と歯肉縁下を含むバイオフィルムの定期的なdebridement)の成果についての報告は極めて少ない。

そこで、成人のメインテナンスと喪失歯数の関係について検討するため、15歯科診療所の40歳以上のメインテナンス患者(5年間以上継続、最終検査日が2005年9月1日以降の2,869人)について、年齢、初診時う蝕経験歯数、初診時現在歯数、歯周病進行度、初期治療時残存歯数、最近来院時残存歯数、メインテナンス期間中喪失歯数、メインテナンス経過年数を調査した。その結果、各年代のメインテナンス10~15年間の10年あたり平均喪失歯数は、40代で0.19±0.499、50代で0.81±1.331、60代で1.11±1.469、70代で1.53±2.172であった。

J Health Care Dent. 2006; 1: 46-50.PDFファイル:250KB

調査4 口腔関連QOL評価について -その意義とベースライン調査の概要

内藤 徹(福岡歯科大学総合歯科講師)
定期的なメインテナンス管理は、歯の喪失などの口腔関連指標に関して良好に働くものと評価されている。しかし口腔の状態は、食生活を左右するばかりでなく、会話や外見などに大きな役割を果たしているため、成人のメインテナンスケアについては、生活の質の評価を重視すべきである。

このような視点から、日本ヘルスケア歯科研究会会員の全国28ヵ所の施設で、2006年8月20日から9月20日まで、40歳以上の受診者を対象に、メインテナンスケアにおける口腔の状況と各種QOL尺度との関連の調査を行った。協力を依頼した患者4,317名のうち、解析に組み入れることのできたものは3,238名(有効回答率75.0%)。ベースラインデータからは、次のことが明らかになった。(1)残存歯数が多いほど、対合接触が保持されているほど、身体的QOLは高い。②<丸数字>精神的QOLは口腔の状態との関連は低い。(2)口腔関連QOLは、残存歯数、DMFT、アイヒナー分類、PD、定期検診などの口腔関連指標と強い関係を示した。(3)口腔関連QOLは抑うつと深い関連を示した。(4)年間のメインテナンス回数と口腔QOLは関連するが、全身QOLとの関連はみられない。今後これらの患者の追跡を行い、メインテナンス治療がQOL指標の改善や維持にどの程度の効果があるのかを検討する予定である。

J Health Care Dent. 2006; 1: 51-60.PDFファイル:819KB

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日本ヘルスケア歯科研究会誌 2005年 第 7巻 1号J Health Care Dent. 2005.PDFファイル:2,613KB

歯周疾患の診査・診断―現在・未来―

横田 誠
「う蝕に対して過剰な介入が行われている一方で、歯周病への介入はあまりにも未熟」と指摘できる。すなわち初期・中等度の歯周病について、しっかりした診査と介入がなされていない。

そのため、多くの歯周治療が費用対効果のバランスのとれない結果に帰しているのではないかと推察される。本稿では、歯周病の診査について現在どのような診査から何を得ることができるか、近い将来どのような診断が可能になるか、その方向性を展望したものである。とくに筆者は非外科処置でどこまで治療が可能かに焦点を絞って研究を続けてきたので、あらゆるリスク因子を見出すことが重要であった。臨床診査の意義と診査結果の解釈について総括的に整理するため、次の項目についてについて総説的に述べる。現在の歯周診査、classification of periodontal diseases in 1999 Workshop、PPD、BOPの意味と意義、炎症による歯の移動、歯の移動が咬合に与える影響と動揺が炎症および歯周病の進行に与える影響などの相互関係、咬合力によるセメント剥離、治療に対する応答の個人差。

J Health Care Dent. 2005; 1: 4-22.PDFファイル:884KB

地域診断の試み
歯科医師会地域保健担当としての仕事を通じて

杉山精一
地域歯科保健事業に先だって、地域の現状を知るために必要な情報を入手して「地域診断」を行うことが必要である。とくに齲蝕有病者率が低下してきた現状では、地域の平均値を見ても、その地域の実態を正しく把握できないだけでなく現状を見誤る可能性がある。

日本の保健行政はこどもの年齢によって、文部科学省と厚生労働省に分かれ、市と県分かれていて一貫したデータがない。そこで、八千代市歯科医師会の衛生担当理事として、地域歯科保健のデータベースを作成し、市の健康まちづくりプランに活かした。地域歯科保健状況の情報収集によって、市内12歳児DMFTはDMFT1以下の生徒が過半数となっているが、DMFTが4以上の小児が1/4を占めることや、12歳児DMFTが高く未処置者率の高い地区では3歳児歯科健診の受診率も低い傾向が認められ、地域差の広がりが明らかになった。

J Health Care Dent. 2005; 1: 23-30.PDFファイル:1,471KB

唾液分泌に影響を与える薬物服用の実態調査研究

日本ヘルスケア歯科研究会
唾液分泌に影響を与える服用薬物の実態(頻度,重複服用,コンプライアンスなど)を把握するとともに刺激唾液分泌速度を計測し,薬物副作用の実態,口腔乾燥の自覚症状について実状を調査した。

36歯科診療所の協力で,2,269名の患者の具体的な薬剤名を含む服薬の実態,741名の患者の唾液サンプルの提供が得られた。

今回の調査から,明らかになったことは,
1.一般的に口渇を起こしやすい薬剤である精神科領域の薬剤を服用している者は歯科医院来院患者で多くはない
2.服薬すること自体は口渇と関連がある
3.疾患によっては,疾患自体が唾液分泌量低下,口渇に結びつくものと疾患の治療のために唾液分泌量低下,口渇に結びつくものがある
4.口渇副作用薬剤の服薬と刺激唾液量の低下はかならずしも相関が認められない
5.口渇副作用薬剤の服薬と患者の口渇感は相関する
6.唾液中のクロモグラニンAはストレスのマーカとして臨床診断上有用でその正常範囲が設定できた
などがあげられる.

以上の結論を導くにあたって,今回のプロジェクトをコーディネートした3名(野村義明,望月眞弓,斎藤一郎)に各担当分野について今回の調査結果の詳細を報告してもらった。

J Health Care Dent. 2005; 1: 31-34.PDFファイル:339KB

唾液と口腔内の関連--服薬調査結果から

野村義明
歯科診療所を受診した成人2,269名について、服薬実態と口腔内の状態および口渇などについて調査した。研究の目的は、a服薬は唾液・分泌量・口渇と関連があるのか? b唾液分泌量低下・口渇はう蝕、歯周病と関連があるのか? cどの薬剤が口渇・唾液分泌量低下と関連するのか? d唾液を分析することによって何がわかるのか? の4点である。

<c>については、Mochiduki Mが報告する。<d>については、現在継続中で、結果の一部をNomura Y & Saito Iが報告する。 調査対象者2,144名のうち、多くの人は服薬しており、「服薬なし」は786名にすぎない。一方、口渇の自覚症状は、ほとんどが「ない」と答えており、「よくある」すなわち毎日口渇を感じるような重症例は84名と少ない。これに「たまにある」を加えても約10%である。歯科受診患者がかかえている疾患は高血圧症が最も多く、2,144名中463名である。口渇自覚症状と咀嚼障害の有無、ストレスの有無、服薬、基礎疾患、年齢、喫煙および歯科疾患との相関を調べた。咀嚼機能は口渇に関連があった。ストレスは精神科で用いる問診票CMIから抜粋した項目で調べたが、ほとんどの項目で有意差が認められた。一方、同じ手法で5分間刺激唾液量とストレスの関係を分析したが、有意差は認められなかった。したがって、ストレスは口渇と関係するが、唾液分泌量とは関係がないといえる。服薬は口渇と関係するが、薬の口渇作用の有無は刺激唾液量とあまり関係が認められなかった。年齢は口渇と唾液分泌量の双方に関係していた。喫煙は唾液分泌量と明らかな関係を有していた。口渇の自覚症状と唾液分泌量は、ともにう蝕と関連があったが歯周病の進行とは関わりが認められなかった。

J Health Care Dent. 2005; 1: 35-45.PDFファイル:428KB

高齢者への薬物投与の実態と口渇副作用情報の持つ意味

望月眞弓
36歯科診療所の2,269名の協力を得て、歯科診療所を受診する成人が、どのような薬剤を服用しているか、その中に口渇の副作用を有するどのような薬剤があるかを調査した。

服薬していた薬剤の約半数は口渇の副作用が報告されていた。対象数が少なく不確実であるが、抗精神病薬、抗うつ薬、抗ムスカリン作用薬などでは、口渇が発現していない。これとは反対に、循環器系治療薬やH2ブロッカーなど投与例が多い薬剤では、口渇がかなり認められた。ただし、これらの薬物は、ほとんどが3~6剤の併用投与である。この調査では、薬の種類が多岐にわたり、口渇および刺激唾液量の関係を解析することはかなり困難であったが、最も投与例が多かったアムロジピン(高血圧の治療薬、一般名・ベシル酸アムロジピン)についてみると、口渇について顕著な訴えはなく、刺激唾液分泌量の減少は認められなかった。次に投与例が多かったメバロチン(一般名・プラバスタチンナトリウム)は口渇の副作用が報告されていない薬剤だが、今回の調査では「口渇がよくある」と回答した人が非常に多く、「メバロチンだけで口渇が出る」という人が20%近く存在するという結果になった。メバロチンについて口渇の副作用を検証する必要があろう。唾液分泌も同様で、メバロチンは、唾液分泌量の低下がアムロジピンよりもより強い傾向が認められた。

J Health Care Dent. 2005; 1: 46-54.PDFファイル:405KB

唾液中ストレス関連性物質の検討

野村義明・斎藤一郎
情動ストレスを生化学検査により客観的に評価するために唾液中のコルチゾールおよびChromogranin A(CgA)が注目される。歯科診療所受診患者の服薬実態調査に際して採取した741人の唾液サンプルについて、

この二つの物質量を測定し、健常者の唾液中の正常範囲の設定を試みた。この分布の95%の人が含まれる範囲を正常範囲とするとクロモグラニンAの正常範囲は0-46pg/mlと設定できた。また、これらの物質の臨床診断マーカとしての有用性を検討するため、鶴見大学歯学部附属病院のドライマウス外来に来院した患者でドライマウスの原因が特定できなかった患者(情動ストレスが関与すると想像される)について、年齢、性別をマッチングさせ、服薬実態調査の唾液中のコルチゾール、クロモグラニンAの測定量と比較した。その結果ドライマウス患者では明らかに高い値を示した。

J Health Care Dent. 2005; 1: 55-57.PDFファイル:217KB

保健教科書において「歯科保健」がどのように扱われているかについての調査

杉山精一
幼児期から20歳まで、できるだけむし歯による充填や補綴物を少なくし、健康な歯肉とバランスのとれた歯列を獲得できれば、その後の成人期の口腔管理は比較的容易になるが、実状は思春期以降に多くの歯が修復処置を受ける結果となっている。

子どもたちの健康について、学校における保健教育の果たす役割は大きい。そこで、現在日本で使われている小学校、中学校、高等学校のすべての保健体育の教科書、さらに小学校については教師用指導書を調査した。その内容を資料として整理した。歯科保健についての記載があるのは小学校のみであり、その内容も簡単なものが多いことが明らかになった。

J Health Care Dent. 2005; 1: 58-64.PDFファイル:409KB

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日本ヘルスケア歯科研究会誌 2004年 第 6巻 第1号J Health Care Dent. 2004.PDFファイル:1,564KB

カリエスリスクデータによるメインテナンス下におけるリスク予測

伊藤 中
カリエスリスク診断caries risk assessmentから得られる情報は非常に重要なものであるが、それぞれのrisk facterがどの程度の重みを持つのか、あるいは個々の患者の危険度について、歯科診療の現場においてat chair side予測する方法はまだできていない。

初診に近いカリエスリスク診断は、リスク改善の指標の意味合いが強いと考えられるが、maintenance phaseにおける情報には「う蝕病変発生の予知因子」としての役割が求められる。 メインテナンス中の患者のcavityの発生を予測することはできないか、と考え診療診療データを分析した。
今回の分析の対象は、検査時5~12歳の患者のうち、検査後少なくとも3年のメインテナンス期間を有する者とした。対象者は63名で、そのうち9名に検査後3年以内にDMFTの増加が認められた。各検査値の疾患予測能力について、検査前確率(有病率)とpositive and negative predictive valueを比較することによって評価した。結果として、positive predictive valueがpretest probabilityより高くなり、あるパラメーターの値が陰性のときにより低くなる(negative predictive valueが高くなる)ようなパラメーターは、疾患のリスク予測に有効である。また、単一で疾患の予測に有効であったパラメーターを組み合わせることにより予測能力は向上した。

J Health Care Dent. 2004; 1: 4-10.PDFファイル:223KB

杉山歯科医院における定期予防管理の結果から長期管理の効果を予測する:
最終メインテナンス年齢19歳以下・5年以上来院者を対象とした調査

杉山精一
最終メインテナンス年齢19歳以下・5年以上来院者のう蝕予防管理結果について定期的予防管理がどれくらい疾患コントロールに効果があるか、自医院の結果を知るには実際に20年近い年数を経なければならない。

そこで、最終メインテナンス年齢が19歳以下で5年以上来院された者を3つの年代に分けて、それぞれの年代でのDMFの変化を出し、その結果から、当院での定期来院者について18歳までのう蝕予防効果を推測してみた。最終メインテナンス年齢が11歳から19歳までで、メインテナンス期間が5年以上の該当者89人について、メインテナンス時の年齢で11~13歳、14~16歳、17~19歳の3つに区分し、メインテナンスに応じた回数によって2群に区分し、検討した。その結果、当院では、患者が6歳時から定期的に来院した場合、定期予防管理によって20歳までに平均2程度のDMF増加にとどめることが可能と推測された。

J Health Care Dent. 2004; 1: 11-16.PDFファイル:284KB

抗生物質使用におけるEBM(根拠に基づく医学)を考える

宮本貴成・高橋祐介・湯本浩通
本稿では,抗生物質耐性獲得のメカニズムとその対策,次に抗生物質使用の時代的な変遷についてまとめた.

近年米国で効果を上げているサイクリング療法と称する抗菌剤の投与方法に見られるように,抗生物質耐性獲得の阻止には,医療,患者,行政の間で,緊密な情報交換と正しい知識の会得が重要である.歯科医療における野放図な抗菌剤の使用は,耐性菌発生の一因となることをよく理解し,日頃から注意するよう心がけなければならない.抗菌剤の効力を将来にわたり維持するためにも,これ以上耐性菌を増やさない努力と,すでに生れてしまった耐性菌のコントロールが必要である.

1954 年から1997 年までの歯科における抗生物質感染予防投与についての論文探索におけるまとめとして,歯周外科処置や抜歯などに際しては,清潔な術野の下で的確な処置を行えば,抗生物質の予防投与は必ずしも行う必要はなく,インプラントやgraft などの材料を生体内に埋入する処置が必要な場合には,術後ではなく術前に抗生物質を投与して術中の血清中抗生物質濃度を高く維持することが肝要だと言うことが確認できた.

J Health Care Dent. 2004; 1: 17-22.PDFファイル:255KB

歯周病の診断・治療・メインテナンスを再考する

村上伸也
歯周病は、他の感染症と異なり、多くの場合細菌が組織の外部に留まるというユニークな特徴をもっている。すなわちからだの外部の細菌が引き金となって生じる生体の抵抗性や反応性によって病気が発現する。

歯肉のサイトカインの量を遺伝子レベル(mRNA量)で評価した私たちの研究でも、歯肉の臨床所見が増えるほど、骨吸収に作用するサイトカイン(IL-1β、IL-6、TNFα)が局所で高レベルに維持されていることが明らかになった。歯周病を理解するには、細菌とともに、俗に言う「体質」の理解が必要である。個人間における1遺伝子暗号(1塩基)の違い(人口の1%以上の頻度のもの)を多型(ポリモルフィズム)と呼ぶが、この遺伝子暗号の違いが「体質」を規定している。Kornmanらの研究では、IL-1の遺伝子型と歯周病の重症度にかかわりがあることが明らかになった。白人ではIL-1高産生型の比率は約30%、日本人では約7~10%がIL-1高産生型である。このように歯周病のリスクにはコントロール可能なリスクとコントロール不可能なリスクがあるが、個人のリスクを客観的に評価することによって、そのリスクに応じた予防プログラムを提供することが重要になってくる。 このような歯周病の理解を前提に、AAPの歯周病の分類の意義とそれに応じた歯周病の診断と治療の流れについて概説する。

J Health Care Dent. 2004; 1: 23-41.PDFファイル:795KB

歯周病の地球規模の疫学とリスクファクター

J.M.アルバンダー
歯肉炎は人口のほとんどに存在する。歯周炎は成人に比較的よく見られる疾病である。しかし、重篤な慢性歯周炎は、人口の一部が罹患しているだけで有病率はそれほど高くない。

米国では、30歳以上の成人で約3%、65歳以上で20%以上である。世界の他の地域でも同様の傾向が見られ、有病率は高くない。若年層の慢性歯周炎の有病率はさらに低い。比較的高い地域はアジア、南米、アフリカである。侵襲性歯周炎はさらにまれな疾患であり、人種的・民族的集積が見られる。 日本の歯科疾患実態調査(1999年)を用いて、米国およびブラジルと比較してみた。 日本の歯周病有病者の割合を年齢別に見ると、歯周病の徴候が見られる患者の割合が加齢とともに増加し、40歳では全人口の85%近くが歯周病の徴候をもっている。重篤な歯周炎の日米比較を見ると、55歳あるいはそれ以上の年齢層になると差が際立っている。
免疫系と細菌との関係に影響を与える因子の関係は非常に複雑であり、その中には強い影響力を持つ因子がいくつか存在する。リスク因子の評価は、それが疾患の予防に役立ち、臨床歯科医は何がリスク因子であるかを知ることによって疾患をコントロールすることができる。

J Health Care Dent. 2004; 1: 42-55.PDFファイル:398KB

若年者の歯周病予防管理

J.M.アルバンダー
若年者では、まず歯肉炎に注目しなければならないが、歯肉炎にはプラークによって引き起こされるものとそうでないものがある。小児の歯周炎は局所的因子および歯肉の炎症の影響が大きい。

若年者の慢性歯周炎治療にあたっては、まず局所的因子を除去する必要がある。そのためにはスケーリング・ルートプレーニングを行い、修復物のオーバーハングなどを除去しなければならない。

J Health Care Dent. 2004; 1: 56-61.PDFファイル:216KB

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日本ヘルスケア歯科研究会誌 2003年 第 5巻 第1号J Health Care Dent. 2003.PDFファイル:3,487KB

バイオフィルムの臨床生物学

花田信弘
本稿は、感染症としてのdental cariesの定義を明確にし、high risk者に対する二次予防の考え方について述べる。mutans streptococciの臨床生物学的観点から見て、集団を対象にした一次予防の手法を診療所に導入しても十分な結果が得られるとは考えられない。

つまり、mutans streptococciの形成するbiofilmの除去には専門的な技術を必要とする。本稿では、二次予防が軽視されてきたわが国の公衆衛生学的背景、dental cariesの人類史的な概観、dental cariesにおける感染、口腔内常在菌(S. mitis、S. oralis、S. salivarius)の考え方とプレバイオティクス、筆者らが確立したmutans streptococciの除菌(3DS)の原理とその結果について紹介する。

J Health Care Dent. 2003; 1: 4-30.PDFファイル:1,256KB

加齢に伴う口腔内の変化について―来院患者の歯牙情報分析からの考察

小口道生・熊谷 崇
歯科疾患実態調査報告(1999年)の国民の年齢階級別一人平均DMF歯数(DMFT指数)および日吉歯科診療所を受診した10歳以上の初診患者(4,396名)のDMF歯数年齢別推移から、次のような加齢に伴う歯の喪失の仮説が浮かぶ。

すなわち多くの国民が、10代から20代にかけて修復治療を受け,その後再治療を繰り返して抜歯に至るというストーリーである。そこで1歯ごとに修復の程度(CRレジンか、インレーか、クラウンか)や歯髄の生活失活の別、抜歯の理由について調査した。調査対象者・対象歯は、2000年1月から2002年12月の36カ月間に日吉歯科診療所に初診で来院した者のうち、30、40、50、60歳のすべての患者88人(男28人、女60人)の智歯を除く2,446本(前歯1,050本、臼歯1,396本)である。また考察のため2000年以前の同年齢の初診患者348人についても調査した。その結果、壮年期まで健全に保たれた歯はその後も治療の必要が生じにくいこと、加齢に伴って有髄処置歯が減少し、無髄処置歯は50歳まで増えて60歳で減少すること、初発に比較して再治療の頻度が非常に高いこと、重度の骨欠損(歯根1/2以上の骨喪失)を伴う歯は非常に少ない(50歳で1.9%)こと。50歳までの抜歯理由はほとんどcariesに由来するものだった。これにより仮説の傍証が得られた。今後、受診患者の歯牙単位の情報を蓄積したprospective studyによって、若年者の修復治療の生涯における問題点を明らかにしたい。

J Health Care Dent. 2003; 1: 31-41.PDFファイル:558KB

歯肉縁下バイオフィルムコントロールの効果に関する科学的根拠

三辺正人
「非外科的歯周治療の臨床有用性;SRPの科学的根拠に基づいた展望」をKey Reviewとして要訳し、重要と思われる内容について「補遺」による補足説明をした。

「その他」には、Key Review以外のSRPに関する総説論文要旨の一部と、他の関連する参考図書を紹介した。また、それ以外のSRPを理解するために必要な文献は、参考文献(No)として、一部は、構造化抄録(Structured Abstract;SA)として引用できるようにした。「図」は、文献より改変引用あるいは、文献をまとめて作成したもので、本総説の理解の補助、知識の整理、スタッフや患者への説明に利用できるようにした。「Q&A」は、得られた知識を臨床の場に生かすために想定して作成された(第6回秋季学術講演会「バイオフィルム感染症を理解する」午後の部、歯肉縁下のバイオフィルムコントロール―臨床的疑問に答える―講演内容)。これら一連の解説(Key Review→補遺→その他→参考文献(SA)→図→Q & A)によって、最近の歯肉縁下の非外科的歯周治療の科学的根拠に基づいた概念を把握することができる。今後臨床、研究の進展や社会のニーズの変化により内容の補足、修正が必要である。

J Health Care Dent. 2003; 1: 42-61.PDFファイル:669KB

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日本ヘルスケア歯科研究会誌 2002年 第 4巻 第1号J Health Care Dent. 2002.PDFファイル:4,075KB

ヘルスケアを目指す歯科医院のための歯科医院リスク分析

千ヶ崎乙文
ヘルスケア歯科研究会が設立されて4年が経過したものの、現時点では、名実ともにヘルスケア型診療所と言える歯科医院は、本会の会員といえども多くはありません。

情報は十分にあっても、それを自院でどのように応用し、問題点を解決しながら、ヘルスケア型診療室への転換を図るか、道筋の見えない歯科医院も多いと思われます。平成14年3月のマネージメントコース(国際シンポジウム前夜祭にて開催)に際して用いた歯科医院基本アンケートにより得られた情報から、診療所の分析評価の指標としてTMR(トータルマネージメントリスク)、THR(トータルヘルスケアリスク)を考案しました。その指標を使ってマネージメントコース受講者、評議員、フォーラムDEWAメンバーを対象に歯科医院リスク分析を行いました。その結果、会員のヘルスケア達成レベルは様々であり、相当な差があることが浮き彫りになりました。マネージメントコース受講者では、TMRの平均は20.0であり、とくに、院長が治療に自信があるとアンケートで回答した医院の平均TMRが低く、院長の自信がマネージメントのキーワードであると思われました。また、評議員では、TMR平均は13.9、THR平均は43.8でした。評議員では、TMRはマネージメントコース受講者に比較してローリスクになりましたが、評議員といえども、課題を多く抱えていることが再認識されました。また、日本ヘルスケア歯科研究会の生みの親といえるフォーラムDEWAのメンバーの分析では、TMR平均12.9、THR平均40.3でした。全体としてローリスク医院が多いことは、ヘルスケア型歯科医院の到達度が高いことを示しています。一方で、データ管理に関して二極化していたのも気になります。さらに、この評価法を千ヶ崎歯科医院の経年的変化に適応してみると、自院の欠点や課題がより鮮明になりました。本来、この評価法は個人的分析に用いるために考案されました。その一方で、この評価法は、ヘルスケア型歯科医院として、一定の成功パターンを想定していることは否定できず、より客観的な評価に耐えうるリスク分析を目指して努力する必要があることがわかりました。

J Health Care Dent. 2002; 1: 4-17.PDFファイル:551KB

ラバーダムの使用状況とその背景因子

内藤 徹/菅 義浩/野村義明/豊島義博/藤木省三/横田 誠
ラバーダムは、治療中の歯を唾液等の水分から守り、あるいは細菌の侵入を防ぐきわめて有効な方法とされている。とくに歯内治療において必須の術式とされており、また充填処置などにおいても高い有用性が示されている。

しかしながら2000年4月の健康保険の診療報酬改正で、レジン充填時のラバーダム算定は不可になるなど、臨床現場でのラバーダム使用の環境は厳しくなってきている。そのひとつの理由は、実際にラバーダムを常時使用している歯科医療機関がかなり少ないと見られるためである。しかし使用実態に関しては、適切な対象・回収率を備えた調査がなく、その実態は明らかではない。そこで日本ヘルスケア歯科研究会の会員を対象として、使用実態、使用/不使用の理由などについて調査した。調査は質問紙法による郵送調査で、会員の歯科医療従事者および研究者1124名に郵送(2001年3月18日送付、同5月18日を回収期限とした)した。回答者は448名で、回収率は39.9%であった。

この結果「ラバーダムをしている」と回答した者は51.1%で、そのうち「ほとんど毎日」と回答した者は22.5%、「週に数回」13.8%、「月に数回」6.2%という内訳であった。使用診療行為は「歯内治療」時が最も多く66.1%、次いで「小児治療時の誤飲防止」であった。使用/非使用の間には、性別、年齢、臨床経験年数、1日の患者数、患者一人あたりのチェアタイムの偏りは認められなかった。大学での臨床教育にも差はなかった。ラバーダムの実施と保険外診療の割合には若干の関係が見られた。「ラバーダムをしていない」理由は、「面倒だから」が最も多く(34.3%)、次いで「患者さんが嫌がるから」(18.8%)であった。ラバーダムを行ったときに得られる効果に対する期待は、「ラバーダムをしている」ものと「ラバーダムをしていない」ものとの間に大きな違いが認められた。「ラバーダムをしている」ものの67.2%がラバーダムにより「歯内治療の成績が良くなると思う」のに対して、「していない」ものでは40.7%のもののみが「成績が良くなると思う」と答えたにとどまり、両者の差は統計的に有意であった。

J Health Care Dent. 2002; 1: 18-23.PDFファイル:229KB

トータルリスクと各種カリエスリスクファクターの重み―日吉歯科診療所のデータ解析結果から

野村義明(講演記録:西 真紀子)
う蝕は複数の因子が重なって生じる多因子性疾患である.う蝕の発生に起因する複数の因子の関係はどうなっているのか、日吉歯科診療所通院患者のデータを解析した.

結果、初診時の各検査値と新規う蝕発症では新規う蝕を発症させる予後因子(疾患のある患者の予後を予測する因子で,健常者に新たに疾患が発生するリスク因子とは異なる)のなかで,S. mutansとLactobacillusが重要な因子であり、新規う蝕発症を予防するには定期管理が重要であることが明らかになった.

J Health Care Dent. 2002; 1: 24-30.PDFファイル:349KB

う窩形成前カリエスコントロールのためのクリティカル・パス

熊谷 崇
疾患の発症プロセスに介入し、発症前に疾患をコントロールすることによって健康な歯列を育成する、そのような患者利益を合理的に達成するための道筋(critical path)を探る。

カリエスリスクには個人差、部位による特異性(site specificity)がある。トータルリスク(カリエスリスク・インデックスの単純な加算値)によって個人個人のリスクの違いを理解し、部位によるリスクの違いを考慮して各歯、各歯面の診査診断を行う。さらにリスクコントロールをより合理的なものとするため、カリエスリスクの各々の因子が相互にどのように関連しているか、統計学的な解析をすることにした。

J Health Care Dent. 2002; 1: 31-39.PDFファイル:553KB

Tenovuo教授講演の臨床的序論として 臨床で遭遇する唾液への疑問

熊谷 崇
口腔乾燥を引き起こす副作用のある薬物の使用,状況3.また主に唾液分泌抑制の副作用に影響されたマージンカリエスや根面う蝕の現状について調査した.日吉歯科診療所の2001年12月31日現在のデータから,初診時のカリエスリスク,DMFT,服用薬の有無が入力された4,376 人について検索した.

口渇の副作用をもつ薬剤の服用者の割合は高齢になるほど多く,60歳以上では半数を越えた.
唾液分泌の減少に関する代表的な3つの臨床例から副作用として口渇が挙げられている薬剤は,ユーロジン(睡眠鎮静剤),セレナール(精神安定剤),セファドール(鎮暈剤),プロモチン(循環器系薬剤),プレマリン(女性ホルモン),プロゲストン(女性ホルモン),テルネリン(骨格筋弛緩剤)であった.

J Health Care Dent. 2002; 1: 40-44.PDFファイル:403KB

唾液―口腔の健康に必須な液体

ヨルマ・テノヴオ(講演記録:西 真紀子)

J Health Care Dent. 2002; 1: 45-55.PDFファイル:638KB

市販歯磨剤についての実態調査

杉山精一
歯科診療所を受診する患者に、その人の使っている歯磨き剤について尋ねると、フッ化物含有のものかどうか知らない人が多い。そこで市販されている歯磨き剤のパッケージを調べてみると、フッ化物含有の有無が分かりにくいものが少なくなかった。

試みに周辺のドラッグストアなど7店舗ですべての歯磨き剤を購入してパッケージを調査した。購入した91種類のうち一般に流通していると思われるものは77種類で、そのうち成分表示にフッ化物が記載されているものは45種類(52%)であった。フッ化物配合歯磨き剤のうち成分表示欄以外にも、表示があったものは27種だった。またグラム単価で比較すると高額の商品にフッ化物を含有しないものが多かった。商品パッケージと成分表示欄の画像を資料として掲載する。

J Health Care Dent. 2002; 1: 56-80.PDFファイル:2,023KB

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日本ヘルスケア歯科研究会誌 2001年 第 3巻 第1号J Health Care Dent. 2001.PDFファイル:2,067KB

予防管理型歯科診療に関するアンケ-ト調査の分析

寺岡加代/野村義明、ほか
日本ヘルスケア歯科研究会では予防を含めた定期管理を診療システムに組み込み経営的に成り立つための条件を検討することを目的に、予防管理型診療所の実態調査ならびに患者調査を実施した.

調査方法は39歯科診療所を対象に、期間中(平成12年12月4日~12月15日)に来院した全ての患者に調査表を配布、自己記入で回答するアンケート方式をとった。回収率は56.8 %(配布数:9,024回収数:5,129)であった。
調査結果から以下の4点に絞って分析・考察を試みた。
1)予防管理型診療所の特性(全国平均のデータと比較):1 歯科衛生士数が多い 3.9人(1.1人) 2 1日平均患者数が多い40.7人(24.3人)
2) 予防管理受診者と非予防管理受診者の比較:予防管理受診者の患者像としては,「女性,14 歳下,学生/生徒,公務員」であった
3)予防管理を受診させるための条件:予防管理の主役は歯科医師ではなく歯科衛生士であることが患者から評価
4)満足度を向上させるために改善すべきサービス:1 位:治療費(18.0),2 位:予約(15.2),3 位:スタッフの対応(12.8),4位:歯科医師の対応(12.5)
今回の結果から歯科医師は能力のある歯科衛生士を活用し,予防管理型患者を増やすことで経営的な採算がとれるのではないかと考えられる。

J Health Care Dent. 2001; 1: 4-14.PDFファイル:536KB

歯科診療に関するアンケート調査報告 ─定期管理型歯科診療所における患者の受診行動と医院評価─

日本ヘルスケア歯科研究会運営委員会
本会評議員の運営する39診療所の協力を得て、通院患者を対象に「歯科診療に関するアンケート調査」を行った。この調査の目的は、個々の診療機関の診療姿勢が、サービスの受け手からどのように評価されているかを知ることにある。

調査方法は、調査紙に自己記入し第三者機関に郵送する方法で、配布枚数9,024枚、回収率は56.87%だった。サンプルはわが国では特殊な定期管理型の診療所通院患者であることに注意を要するが、以下の事柄が明らかになった。

一定期間の受診患者に無作為に配布したが、全回答者に占める健康管理のための通院者は35.2%。
「かかりつけ医院」であることを歯科医院選択理由にしている人が40%を越えた
歯科医院に関して欲しい情報のナンバーワンは「診療を受けた患者の評判」で回答者の34.2%
治療でなく健康維持のための受診の経験のある人は46.5%、そのうちそのような受診を「今後もつづける」と回答した人は94.9%に達した
その他、支払える費用(Willing to pay?)、サービスの評価などについて、診療所間の大きな格差が認められ、興味深い事実が明らかになった。

J Health Care Dent. 2001; 1: 15-22.PDFファイル:309KB

歯科診療所初診患者の歯周病罹患状況と定期管理の効果

岡 賢二/古八知美ほか
本稿では、厚生省の1999年度歯科疾患実態調査(6,903人)、吹田市成人歯科検診(12,955人)、本会データベースソフト「ウィステリア」を用いた筆者の歯科診療所の来院患者データ(4,674人)をもとに、成人の歯周病の罹患状況、DMFTや現在歯の推移、齲蝕予防・歯周病予防・歯周治療・定期管理の効果を検討した。

筆者歯科診療所の初診患者の現在歯数、年齢別のDMFTに大きな差は認められない。歯科疾患実態調査からは、50歳代から急速に歯の喪失が進むが、これはう蝕の早期発見早期治療・再治療の繰り返しによる歯の脆弱化がこの年代で一気に顕在化すること、適切な歯周治療や定期管理が供給されていない実態がうかがわれる。このことは「保健福祉動向調査」からも裏付けられる。定期管理を受けている1176人(初診時平均年齢45.6歳)のデータかたは、平均経過年数6.4年で一人平均喪失歯数は0.3本、この期間に歯の喪失のまったくない人は80.3%であった。初診時乳歯列ないし混合歯列のもの396名(初診時平均6.3歳)の平均5.9年間の定期管理によってDMFTは0.9から1.3に、カリエスフリーの者の割合は66.1%から61.9%になった。初診時年齢が低いほどDMFTの増加を抑え、カリエスフリー率を高いレベルで維持することができる。 定期管理により成人の歯の喪失が激減し、DMFTの増加が非常に少なくなることがあきらかであり、乳歯列期からの定期管理で12歳児のカリエスフリー90%以上を達成しうる可能性が示された。

J Health Care Dent. 2001; 1: 23-32.PDFファイル:444KB

明確な患者利益の追求における臨床疫学の役割

フィリップ・フジョー
歯の喪失やQOLの低下といったシンプルで臨床に深いかかわりのある歯科疾患のエンドポイントについての研究はきわめて少ない.

疾患の原因を探す場合,また治療法,診断法を検討する場合のいずれにおいも,はっきりと認知できる患者利益に焦点を当てた研究が必要である. この講義では臨床研究のエンドポイントには,真のエンドポイントと代用エンドポイントがあり,代用エンドポイントにおいて効果があるということと,それが真のエンドポイントにおいて効果があるということには大きな違いがあることが語られた.

J Health Care Dent. 2001; 1: 33-49.PDFファイル:519KB

歯科医療サービスに社会が求めるもの―米国における口腔保健サービスと予防:現在と将来

マイロン・アルキアン
この講義のテーマは,四つの大きな分野に分けられる。まず一つは,アメリカのヘルスケアシステム(The USHealth Care System),二番目は口腔疾患の予防の重要性(The Importance of Preventing Oral Diseases),三つ目はアメリカの歯科医療従事者およびその臨床(The US Dental Profession andPractice),そして最後に歯科医の将来(The Future of the DentalProfession)である。

J Health Care Dent. 2001; 1: 51-62.PDFファイル:349KB

日本ヘルスケア歯科研究会―3年間の歩み

藤木省三
日本ヘルスケア歯科研究会は、設立から3年を経過した。設立にあたって掲げた使命について、これまでの活動とその成果を再評価した。本会はたんに会員の利益のための集まりではなく、

「人々が生涯にわたって快適な咀嚼と自由な会話と若さと尊厳に満ちた微笑みを維持することができるように、自らの足もとから医療のありかたを改める」ことを目的にしている。本会の設立とその活動が、わが国の歯科医療および歯科医学研究に与えた影響は大きいが、当初掲げながら十分にできなかったことがらも少なくない。3年間の歩みを振り返った。

J Health Care Dent. 2001; 1: 63-66.PDFファイル:259KB

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日本ヘルスケア歯科研究会誌 2000年 第 2巻 第1号J Health Care Dent. 2000.PDFファイル:1,556KB

う窩形成前カリエスコントロールのためのクリティカルパス

熊谷 崇/熊谷ふじ子
私たちは、発症前の診断や治療に踏み出すとき、主訴に対応するだけの診療とは、まったく別次元の問題に直面する。私たちの診断は、どの程度確実なのか?予防プログラムはどのくらい有効なのか?患者に、満足できる結果を請け合うことができるのか?

もし、カリエスリスクを診査したとしても、そのリスクに応じた合理的な予防プログラムが立案できないとしたら、カリエスリスク判定はいわばモチベーションの道具にしかならない。また、確実な結果を得るために、私たちは常に過剰な予防に追い込まれることになる。そうであるならば、リスク判定をしていても、予防管理の費用効果は極めて低いままにとどまるであろう。そこで、過剰予防(over prevention)を防ぎ、診療所における予防管理の適切な目安を得るために、トータルリスクに着目し、カリエスフリー達成者のカリエスリスクを分析した。 トータルリスクとは(1) 唾液緩衝能の判定(Dentobuff Strip)、(2) 唾液中のmutans streptococci 数の計測(Strip mutans )、(3) 唾液中のlactobacilli量の判定(Dentocult-LB)のほか、(4) 刺激唾液の分泌速度、(5) 飲食の回数、(6) プラーク蓄積量、(7) フッ化物の使用状況の7項目の各々0~3までの4段階の指数を単純合計したものである。  調査対象とした10歳以上の永久歯カリエスフリー者308人は、そのすべてが日吉歯科診療所において、継続的なメインテナンス下にあった者である。この308人のメインテナンス時のトータルリスクスコアの平均値は11.4、永久歯カリエスフリーとなったメインテナンス時の平均値は7.8、11以下の者が282人(91.6%)であった。また調査対象とほぼ同時期に来院した初診患者(300人)を対照として参照したところ、そのトータルリスクはカリエスフリー達成者の初診時トータルリスクとほぼ同じ(11.3)であった。これらの事実から、もしカリオロジーに基づいた齲窩形成前診断とその対応が十分に行われ、ハイリスク者のリスクをコントロールし、トータルリスクを11以下に維持できたならば、カリエスフリーを達成する可能性が大きいと推測できる。

J Health Care Dent. 2000; 1: 4-17.PDFファイル:687KB

長期咬合管理におけるカリエスリスク評価に基づいた個別口腔衛生プログラム

伊藤智恵/楠本雅子/田浦勝彦
成長期不正咬合者の歯列をカリエスフリーの健全歯列に育成するために、我々は、カリエスリスクの科学的判定法に基づく検査システムを用い、新しい個別口腔衛生プログラムを確立することを検討している。

今回は、現在実行している個別口腔衛生プログラムの有効性について評価した。

本プログラムでは、カリオロジーに則って得られたリスクファクターを総合的に評価し、患者個人の齲蝕病因に関する診断を行い、リスクの程度に応じた具体的な予防プログラムを作成、実行する。さらに、各リスクファクターの経時的変化を追跡、再評価している。本プログラムを導入し、長期咬合管理第1期治療を行った患者64症例について、後ろ向き追跡調査を行ったところ、以下のような結果が得られた。(1)LBスコアと齲蝕有病状況とは有意に相関が見られた。(2)LBスコアが高い群には、複数のパーソナル・ケアが処方されていた。(3)LBスコアは、患者の現在のカリエスリスクを最も端的に表現する指標と捉えることができた。(4)矯正装置の装着に伴ってLBスコアは上昇する傾向を示したが、その一方で低スコアを保持する患者が30%存在し、他のリスクファクターの変化にも注目すべきことが示唆された。(5)調査期間中の新生永久歯齲蝕は少なく、本プログラムは有効であることが確認された。

本研究の結果、個別口腔衛生プログラムの実践によって、長期咬合管理期間中にカリエスリスクを悪化させずに、予知性のある齲蝕予防管理を進めることが可能であることが示唆された。

J Health Care Dent. 2000; 1: 18-25.PDFファイル:354KB

沖縄県一離島村の伊是名小中学校におけるカリエスリスク・プロフィール

中島 健/安細敏弘
われわれは、平成9年度より沖縄県内の離島村である伊是名村の小中学校(生徒数275名)において、毎年全員にサリバテスト(Orion Diagnostica社製造)を用いたカリエスリスク調査を行い、その結果をもとに歯科保健指導ならびに歯科治療を行っている。

ここでは平成9年度に実施した小中学校のカリエスリスク調査から得られたカリエスリスク・プロフィールについて報告する。唾液中のmutans streptococciが検出限界に達しないことを示すSMスコア=0の者が、ほぼ半数にのぼった。またプラークスコアとSMスコアには関連がみられず、飲食回数とLBスコアの相関が認められた。児童のカリエスリスク調査により教職員や父兄とカリエスリスクの知識を共有することができ、教育効果を実感している。

J Health Care Dent. 2000; 1: 26-33.PDFファイル:230KB

学校歯科保健活動によるう蝕罹患率の改善 ─酒田・飽海地区における取り組みとその成果

五十嵐正大
1999年度11月の調査で酒田市の小学校6年生のDMFT指数は1.1、カリエスフリー(DMFT=0)者率は55.6%となった。また近隣のあくみ郡(平田町、松山町、八幡町、遊佐町)においても、同様の成績(DMFT;1.2、カリエスフリー者率;49.5%)を示した。

鳥海山(ちょうかいさん)の山麓から最上川(もがみがわ)に至る庄内平野北部に広がるこの地域は、有数の農業地域であり、この地域が属する山形県の三歳児う蝕罹患者率は、つねにわが国ワースト3に数えられてきた。酒田・あくみ地区における、う蝕罹患状況の改善は、主に学校保健活動における養護教諭および学校歯科医の意欲的な取り組みと健診基準の変更、予防管理型にシフトしたホームデンティストの働きの総合的な影響によるものと考えられる。とくに健診基準の見直しが、地区歯科医師会をつうじて積極的に進められたことが大きな成果をもたらした。児童のカリエスリスクに大きな幅が認められる現在、学校、家庭およびホームデンティストの連携が好結果をもたらすものと考えられる。

J Health Care Dent. 2000; 1: 34-42.PDFファイル:537KB

フッ化物に関する専門家・会員の意識調査報告

フッ化物調査小委員会
わが国では、う蝕予防のためにフッ化物の有用性について論じ、応用法を広めることが、未だに一種タブーのように扱われている。これはフッ化物をめぐる意見の対立があたかもイデオロギーの対立のように演じられてきた結果と考えられる。

すなわち上水道フッ素化を目標とする少数の活動家と強硬にフッ素化に反対する運動家の対立があるが、この意見の対立が、フッ化物の応用そのものにとって障害となっている。このような不毛の議論は、歯科医学・医療専門家のコンセンサスがまとめられていないことに一因があると言える。そこで本会は、日本のすべての歯科大学・歯学部(29校)の予防歯科・口腔衛生を含む全臨床系講座および病理、生化学、薬理学の講座の教授、助教授、講師の方々に対して、「専門家のフッ化物応用の認識に関する調査」を行った。有効送付先は827人、有効回答は256人(31.0%)であった。また併せて本会会員にも同様な調査を行った。その結果を報告し、考察する。
わが国の意識の高い歯科医師の大多数が、「う蝕の発症を未然に防ぐことが、歯科医療関係者のもっとも重大な関心事のひとつ」だと考えており、「フッ化物の応用がう蝕の発症予防とう蝕の進行停止に大きな効果をもつことは膨大な疫学研究によって実証されている」と認識していることが明らかになった。またフッ化物の応用法としては、歯磨剤、プロフェッショナルケア、フッ素洗口が支持された。とくに歯磨剤は回答者のほぼ80%の支持を得た。これと対照的に上水道フッ素化は27%にとどまった。

J Health Care Dent. 2000; 1: 43-49.PDFファイル:358KB

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日本ヘルスケア歯科研究会誌 1999年 第 1巻 第1号J Health Care Dent. 1999.PDFファイル:1,858KB

初診患者のカリエスリスク・プロフィール

熊谷 崇ほか
チェアサイドで簡便にカリエスリスクを診査できる唾液およびう蝕関連細菌の検査法が、わが国に紹介されて5年近くが経過した。そこで日吉歯科診療所(酒田市)来院患者のうち199X年X月から199X年X月までに来院し検査データを入力した4110人の患者のうち、集計可能なカリエスリスクにかかわる検査値を集計・報告する。

検査対象には、初診患者ばかりでなくメインテナンス中の患者も含まれ、また地域性や患者層の偏りなどもあるため、ここから短絡的にわが国全体の受診患者の平均像を推測することはできないが、診療室で同様な検査をした場合の参照データとなろう。これらの検査をリスク判定の資料として用いる場合、あるいは診療機関の自己評価のために用いる場合、何らかの基準になる多数例の検査結果を参照することは有意義である。とくに医療制度の違い、処置歯率の違い、フッ化物の利用程度、砂糖摂取量など、日本の国民の口腔内は先進工業国のなかで特異な環境にあり、そのカリエスリスク・プロフィールを明らかにする意義は大きい。
唾液中のmutans streptococciレベルの検査(Dentocult SM)では、男性で39%、女性で46%の人が歯面の80%以上にmutans streptococciが定着していることを示すレベルであった。唾液の緩衝能の検査(Dentobuff Strip)で、とくに低い値を示した人は、男性の25%、女性では32%に上った。この他、唾液分泌速度、唾液中のlactobacilliレベル、飲食回数、分泌抑制副作用薬剤の服用、フッ化物使用状況、プラークコントロールの状態などについて検査し、集計したので、その結果を報告する。

J Health Care Dent. 1999; 1: 4-12.PDFファイル:491KB

初診患者の歯周病学的プロフィールと喫煙

熊谷 崇ほか
初診患者およびメインテナンス中の患者について、その喫煙習慣を調査した。調査対象としたのは、1980年10月から1998年10月までに日吉歯科診療所(酒田市)を初めて受診した10歳から84歳までの1616人およびメインテナンスで来院した患者973人である。

喫煙習慣については、とくに習慣性の喫煙蓄積量が健康に大きな関わりをもつとの報告*があるため、〈1日あたり喫煙本数×喫煙年数〉により蓄積本数を求め、それを4段階にクラス分けした。

またX線的に観察した歯周支持骨の吸収の程度により、各歯について歯周病の進行度を4段階にクラス分けし、その患者の全歯の平均をもって当該患者の歯周病進行度とした。その他、臨床的プロービング値、喪失歯数、メインテナンス管理の効果について、喫煙習慣との関わりを検討した。その結果、喫煙者と非喫煙者とでは、とくに30歳以上の患者で歯周病の重症度に明確な差が認められた。この調査では男性の喫煙者率が非常に高く、とくに男性において歯周病の増悪因子となっていることが明らかになった。

喫煙が歯周病の増悪因子になることは、近年数多くの研究で明らかにされているが、臨床的なリスク診断あるいは歯周病の予防や治療の一環として歯科診療所において喫煙の問題に取り組むことは、まだ普及しているとは言えない。通院患者の喫煙習慣の実態を知り、歯周病のリスク診断にその情報を用い、歯周維持療法(Supportive therapy)における喫煙習慣改善の臨床的効果を明らかにすることは、歯科診療所における歯周病の予防治療において喫緊の課題である。

J Health Care Dent. 1999; 1: 13-25.PDFファイル:760KB

患者データの管理—その意義と方法

熊谷 崇
患者データの管理は、患者のために重要であるばかりでなく、私たち診療機関の客観評価のためにも重要な意義をもつ。しかし、情報が多くなればなるほど効率的な管理は困難になるため、情報管理の方法は常に費用効果の側面から検討しなければならない。

筆者らは、診療記録や口腔内規格写真などの記録とは別に、臨床疫学データを得るためのデータ管理を提案してきた。本誌には、その一端を紹介しているが、それに先だって筆者らがルーチンワークとしている患者データ管理の方法と意義について述べる。

J Health Care Dent. 1999; 1: 26-27.PDFファイル:151KB

地域に根差した歯科医療を模索する

浪越建男
人口7,500人、歯科医療機関1か所の町に歯科医院を開設したが、患者の口腔内の状態は想像以上に劣悪であった。幼稚園、小学校の校医として町内のほとんどすべての子どもに接する機会が与えられたため、

健診時の探針不使用
健診時の「疑わしき歯は健康」の判定
初期齲蝕に対するフッ素応用指導
0.2%NaF週1回洗口など
順次可能な施策を学校保健活動において採用した。この結果、小学校の12歳児DMFTは、1994年の3.0から98年には1.2に低下、同年齢の永久歯のカリエスフリー率は31.4%から50.6%に改善した。そして、地域の歯科保健活動を先行させたことが、診療室の予防的診療体制の整備に大きく寄与した。

J Health Care Dent. 1999; 1: 28-31.PDFファイル:234KB

村木沢小学校における学校歯科保健への取り組み

斎藤直之
学校歯科医として、その役割、健康診断の目的、学校歯科医の目標、CO(Questionable Caries for Observation)の趣旨の徹底を改めて整理した。

また健診において探針の使用をやめ、口腔内写真を撮影し、それを家族への情報提供や経過観察に活用した。その結果、12歳時(第6学年)のDMFTは、1993年の4.3から98年に1.6に改善した。

今後、家庭-学校-ホームドクターの連携をより重視し、健康を守り育てる社会環境を整備したい。

J Health Care Dent. 1999; 1: 32-38.PDFファイル:285KB

矯正治療中の齲蝕予防システム─その変遷と成績

竹下 哲
矯正期間に新たな齲蝕を発展させないために、シュガーコントロールとTBIを徹底した。DMFTを評価したところ、矯正治療中の2年間にDMFTは2.8増加した。これは同年齢の一般的集団と同程度であった。

その後、カリオロジーの考え方に接し、リスク判定を行い、それに基づいてハイリスク部位にプロフェッショナルケアを集中し、必要な部位にシーラントおよびフッ素塗布を行った。38人のマルチブラケット装置による矯正治療患者を調査したところ、12歳から14歳の矯正治療期間の2年間に新たに増加したDMFTは0.1であった。

J Health Care Dent. 1999; 1: 39-42.PDFファイル:177KB

私の学校歯科保健活動

佐々木正晃
同じ小学校の校医となって7年目になるが、初めの3年とその後は、疾患に対する理解、健康診断の方法、診断基準、対処法などすべてが大きく変わった。このことによってDMFTも著明に変化した。

初めの3年は、公衆衛生活動は建前の活動であり、診療現場では本音の活動、学校歯科検診では基準どおりに正確を期すことだけを考えていた。これは、8020という建前と処置優先の保険診療の本音という、日本の現状につながっている。学校歯科保健活動は、歯科医療を中心に置いて人々を見ていた私に、様々の異なる考えや価値観を教えてくれる格好の社会勉強の場となり、「健康を守り育て、健康観を高めていく」という一貫した姿勢の大切さを教えてくれた。

J Health Care Dent. 1999; 1: 43-48PDFファイル:272KB

予防にシフトした歯科診療所経営の現状

太田貴志ほか
慢性疾患の医療について、対症療法に偏った従来の医療のあり方が批判されている。しかし医療のいわば下部構造にあたる病院・診療所の経営は、従来の伝統的な収支構造から一朝一夕に脱皮し得るものではない。

診療システムの改革は、経営的な足かせをはめられているように見える。そこで診療所のシステムを修復・補綴から予防重視へとシフトした本会会員の診療所10施設に過去14年間の経営データを提出していただき、その可能性と問題点を分析した。保険の件数すなわち患者数の推移を概括すると、一貫して増加している診療所と減少または横這いの診療所がある。この二つの対照的なグループについて、その違いが生じる理由を考察した。その結果、診療所のキャパシティの変更が、予防中心の診療所経営においてはひとつの大きな条件になることが浮き彫りになった。

J Health Care Dent. 1999; 1: 49-56.PDFファイル:295KB

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