ICDASとは―ICDAS導入を検討中の方へ

昨今、う蝕診査表(ICDAS準拠)がテレビや雑誌、さらには他学会でも紹介され、歯科医療従事者の間でもICDAS(主にICDASコード)が徐々に認知され始めています。

ただ、「ICDASを診療に取り入れよう」、「あるいは、興味があるから」と、う蝕診査表は買ってみたものの、どこから始めて良いか判らない、そんな方のためにICDAS関連の資料をまとめてみました。

なぜ,診療室でICDASが必要になるか?

 

まず,言うまでもないことであるが,う蝕イコールう窩ではない.う蝕とは,脱灰と再石灰化の繰り返しの中で脱灰のほうが勝っている状態,う窩とはう蝕によって生じた結果である.う蝕の徴候を見つけたらすぐに切削していた時代には,どのような修復治療をするか,その指標としてう窩を分類していた(たとえば C1 ~ C4).今日,われわれは,切削する必要のないう蝕病変の存在を知っている.それらのう蝕病変については,再石灰化処置を講じ経過観察をするが,客観的に正確に状態を評価して経過観察をするには,切削のためではないう蝕診断コードが必要になる.今現在どういう状態であるかということよりも,時間軸の中でう蝕病変をとらえ,変化しているかしていないか,変化しているならどう変化しているのかが大切になってくるのである.あなたの診療所では,CO として経過観察をしていた病変が進行しているのかしていないのかを評価する,はっきりとした指標はあるだろうか? たとえば担当の歯科衛生士が変わった時,前任者の言う CO と今目の前にある CO が同じなのかどうか不安になったことはないだろうか? また,患者に対して,う窩になっていない病変のデリケートな変化を表現しようとして説明に窮したことはないだろうか?

ICDAS(International Caries Detection and Assessment System =国際的う蝕探知評価システム)は,2005 年に欧米のカリオロジー研究者によるコンセンサス会議International Caries Detection and Assessment System Coordinating Committee)で決定した新しいう蝕検出基準であり,昨年(2009年)のヘルスケアミーティングで紹介された.初期脱灰の段階から病変として認識していること,視診による判定を重視していることが大きな特徴である.